打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

25:打てば響く 2009年10月5日分 転載
ビートル 10/05 17:49
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10月5日 鳩山新内閣とバラク・オバマ自伝「マイ・ドリーム」

 感想です。
 九月十七日、鳩山新内閣が発足しました。それから、まだ二週間とちょっとしか経っていないのですね。でも、もっと長い時間が過ぎたような印象です。
 内閣発足の日に、この感想は書き始めたのですが、締め切りの原稿などで中断していました。「しばらくは、この内閣のやることを、じっと観察することにします。ぼくたち老人は、長い間の日本の政治を見てきたので、かなり政治不信に陥っていますが、評価するには、しばらく待たねばならぬことは分かっています。だから、待ってしばらくは見守りたいと思います。鳩山首相が、国連総会出席の機会にアメリカに行き、そこでオバマ大統領と会見し、どんなことをいうのか、総会ではどのような演説をするのか、などなど、見ることはたくさんあります」と書いたところで中断でした。
 その全てが、一応済んだところです。ま、かなり努力しているところは分かりました。権力を掌握し、その権力を使って何をするのか、少しは見えてきました。
 天下り廃止には本腰を入れるようです。数年前、全家連(全国精神障害者家族連合会)が破産しましたが、そこにも官僚が天下りし、補助金をもらい、(もらうために無理な事業を起こし)借入金の返済ができなくなったのです。小生の元患者で、病気からの回復後、この連合会の誕生に力をそそいだ人が、事業拡大に反対して、天下り官僚に追い出され、告発の本を出しましたが、最近になって、ようやく検察が動いたようです。天下り官僚としては小物ですが、少々の告発では検察は動きませんでした。天下り官僚が、せっかく育った精神疾患の患者家族会の連合を、政治に巻き込んで潰してしまったのです。
 政権交代で、検察すら、ちょっぴりは変わるかもしれません。

 それから、今、偶然本屋で手に取ったバラク・オバマ自伝「マイ・ドリーム」を読んでいます。英語の本を買ったのですが、翻訳が出ていることを知り、そちらを読んでいます。原書の初版はなんと1994年です。そして2004年に改訂版が出た。日本語の訳も、2007年に出されたものです。大統領になったから、慌ててゴーストライターに書かせて出版させたような類いの本ではありません。米民主党の大統領候補になる前に出されたのです。しかし、これがすごく面白い本です。面白いという言葉が、貧弱に感じられるほど面白いのです。バラク・オバマが、大統領選挙で勝つ前に、この本を読んでいた人は幸せです。大統領に当選した人という偏見を持たずに、ある若い政治家の自伝として、読んで純粋に感動できたのですから。大統領選挙の前に書かれたこの本に、かれが若いころ、大麻や麻薬をのんでいたことがあることも書かれているほど、正直な自伝です。
 今、あちこちにマーカーで線を引きながら読んでいます。読み始めたら、途中でなかなかやめられない。アメリカ合衆国は大した人間を大統領に選んだものです。この人に二〇年ほどアメリカ合衆国の大統領をやっていてもらいたい、と思ってしまいます。でもアメリカ憲法がそれを許さない。
 残念です。もう読んでしまわれた人も多いと思いますが、読まれていない人には、是非読むことをお勧めします。

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