打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

29:打てば響く 2010年4月11日分転載
 04/18 00:33
【打てば響く】「立ち上がれ日本(ニッポン)」の感想です なだいなだ 2010-4-11

日本はなく、あるのは日本主義というイデオロギー

与謝野、平沼の新党に名前をつけたら、といわれて「じじい民党」と答えましたが、石原慎太郎のネーミングといわれていますが「立ち上がれ日本」になったそうです。
老人たちの集まりだから、老人が応援しませんかといわれましたが、老人党は記憶がいい。

与謝野は麻生内閣の金融財政担当の責任者で「二万円ばら撒き」をやった当事者であり、後期高齢者保険制度を作った自民党の有力議員だった、ことを忘れていない。政治家の未来に向けた美辞麗句に迷わされず、70にもなる人間は「やってきたこれまでの行動で判断する」。
だまされるほどの馬鹿ではない。と答えました。

尋ねてきた新聞記者には、麻生内閣で与謝野が何大臣だったか忘れたの、老人より記憶力が悪いね、アルツハイマーかね、と皮肉をいってやりましたが、もちろんこれは新聞にのりません。
ぼくの推測では、この新党は、小泉純一郎を担いだ「文春、読売系」のジャーナリズムのサポートを受けての新党でしょう。「日本」とは何でしょう。一つにまとめようというイデオロギーです。

しかも自分たちだけが正しい、選挙で勝った民主党に任せていたら亡国だ、その裏側には連立を組んだ少数の社会主義者に引きずられているから亡国だ、という選挙無視の考えが見えます。
民主党が勝ったのは、自民党こそが自分たちの生活をズタズタにしてきた、という選挙民の怒りであり、国民総中流の国から一千万の貧困層に落とされた人たちの意識だったことを、見ようとしない人たちです。

日本を敗戦に導いた職業軍人たちに、平和条約締結と同時に恩給を復活した自民党の右派、国のために命を捧げる、会社のために絶対服従で命をささげる、反対するものは国賊だとか、非日本人だとか、のレッテルを貼る。排除主義の全体主義、その時代の日本はまとまりがあったと郷愁を感じている人々でしょう。

あるのは現実の日本でなく、個々を全体のために奉仕させるカタカナのニッポン主義のみです。
日本はたくさんの人たちの集りです。それを右と左の大きな流れを交代させて、ヨットのように向かい風にもかかわらず帆を滑らせ前進する現実の日本という民主主義の国です。
「ニッポンチャチャチャ、金メダル」の浮かれたテレビジャーナリズムの日本ではありません。

文春は出版不況の今、まだ日本で売れる、という計算があるのでしょう。読売もそうでしょう。
テレビもオリンピックでまだ稼げるなら、日本で稼げるかもしれないと思っているのかもしれません。
俺と一緒に立て、といっても自民党の若手さえついてこない連中に、立ち上がらせる日本というものがあるでしょうか。

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