31:打てば響く 2011年12月20日分 転載 ビートル 12/24 19:03 なだいなだのサロン『打てば響く』 2011年12月20日分の転載です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 12月20日 フランスからです。 個人的問題。病気の治療の方は順調のようです。マーカーの価は低くなりました。飲んでいる薬、女性ホルモンですが、副作用は全くありません。おっぱいも大きくならなければ、肌もすべすべにならない。食欲も衰えない。副作用を欲張ってみても、あまり意味がないか。 ともかく、現在のところ、至極元気であり、ご心配には及びません。 フランスまでの旅は、少し贅沢して、プレミアムというツーリストと、ビジネスのクラスの中間のクラスを利用しましたが、八十歳を越してからは、この席でも、かなり苦痛になってきました。ま、何とか14時間の飛行を乗り切りましたが、正直、余裕はあまり残っていませんでした。あと何回、このような旅ができるかな、という消極的な考えが、頭に浮かびました。 パリに着いて数日して、金正日の死を知りました。テレビに映し出される、号泣する何人もの北朝鮮の人の姿は、ちょっと異常という印象を受けましたが、日本でも明治天皇が死んだときに、宮城前にいって号泣する人がたくさんいたし、乃木大将夫妻のように殉死などする人もいたのです。北朝鮮を考えるとき、社会的に、100年くらい遅れているという状況を想像するか、日本も百年前はそうだったと思い出すか、ともかく頭を切り替える必要があります。 後継者が三男に決まったようですが、若くて頼りなげな印象をテレビから受けましたが、これからの難しい状況を、背負っていけるのでしょうか、ちょっと疑問に感じます。 さて、日本ですが、わがドジョウ首相は、ほとんど自民党と変わりないことが分かってきました。人気急落も当然でしょう。 問題は橋下新大阪市長です。侮れない人気ですが、年金の考え方などを知ると、この人には、「相互扶助」の考え方が、完全に欠けていると思います。年金は積み立て貯金ではない。高給をもらっている人は、貯金をする余裕もあるはず、支給の上限を設けるべきです。そうでなければ、行き詰まるでしょう。年金で世界一周の船旅などする必要はなく、老後のために貯めてきた貯金で旅行に行けばいいのです。 相互扶助の考えがなければ、この国の住民としての一体感など生まれようがありません。大震災ばかりでなく、日常のあらゆる場面で、助け合いの精神が見られねばなりません。 いかに橋下氏に人気が集まろうと、今のままでは、どちらかといえば金持ちクラスの間の人気にとどまるような気がします。かれはもう少し政治哲学を語る必要があります。 話は変わります。80以上のぼくは、よく戦後の焼け野原と、東北の津波の後の、光景との相似を問われますが、よく似ています。ただ、決定的に違うことは、焼け跡に、勝手にバラックを建てて住む人がいたのに対し、津波の後にまだ、闇市も立たないことです。この違いが戦後の復興のエネルギーと、大震災後のエネルギーの違いのように思えます。闇市を仕切っていたのは、アウトローの雰囲気でした。みな、親分たちでした。戦後の闇市のドキュメントをやらないかな。 実際、土地の親分が多かった。しかし、この人たちは戦後の社会に次第に組み込まれ、親分たちは都会議員になったり、なかには都会議長になった人もいました。ぼくたちは闇市焼け跡派などと呼ばれることがありましたが、闇市のエネルギーに郷愁を覚える人間です。 今は闇のエネルギーはどこかに行き見えません。税金待ちばかりです。これでは当然エネルギー不足になるでしょう。 そんなことを考えています。 |