打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

32:打てば響く 2011年12月31日分転載
ビートル 12/31 10:43
なだいなだのサロン『打てば響く』12月31日の転載です。


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12月31日 感想です。


 遠く離れてヨーロッパに来てみると、見えないものが見えてくることがあります。
 今日、新聞では1ユーロが100円だと騒いでいました。ぼくが固定相場に戻すべき好機とかつて書いたことがある瞬間です。
 日本では、円安の方が「輸出しやすい、国際競争の点で有利になる」という議論が主流になりますが、こちらでは、輸入品の価額が高くなって、インフレになるという心配の議論が主流です。日本は輸出産業の目でもの見ていて、こちらでは消費者の目でものを見ているということでしょうか。
 ユーロ安で、国際競争力が高まり、輸出しやすくなるのだから、経済に活気が出てくるのではないか、失業が減るのではないか、と言ってみたら、生産拠点を国外に移しているので、ユーロ安になって、フランスブランドの、輸出が増えても、フランスの失業は減らないということです。これではユーロ安を歓迎する人が少なくても当然です。しかし、これが、日本の明日の姿かもしれません。
 フランスの失業者は増え続けています。大統領選ではそこが問題になること必至の状況です。そろそろジャック・ジェネルーという人の本が売れてくるのではないかと思います。この人は、大学の経済学の教授ですが、ぼくなどにも、現代の経済の抱える矛盾を分かりやすく教え、われわれにもできそうな対策を、研究模索している人です。この人の本が読まれるというのは、ぼくにはよい傾向に思われます。

 今年の世界は、どうやら混乱のままに暮れていきそうです。
 闇市焼け跡派は、今こそ元気を出させるべく、行動していきましょう。

 パリから
 なだいなだです

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