打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

35:打てば響く 2012年3月22日分転載
ビートル 03/22 22:45
 打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム)3月22日の記事の転載です。


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3月22日 感想

 婦人之友の次号の原稿を送った。
 日本の代表的な銀行の勧めで、アメリカの生命保険を買い、利子は日本の銀行利子の数倍付いたが、この円高ドル安で、結果的に大損をした。普通預金に入れっぱなしの貯金に目をつけられ、資産運用しろと勧められ、しつこい勧誘についにイエスといってしまった結果が、数百万円の損。最近の一年の収入に当たる額だ。もう資産運用等という言葉は聞きたくない。
 この経験から、投資顧問会社に年金運用を任せるよりは、日本の未来を買え。日本のインフラに投資しろ。年金は、お金を長い間積立て、寝かせて、未来で受け取るものだ。自分の老後を任せる日本に投資し、より住みやすくする目的に使ってもらうのが利口だ。自分の老後を任せる若い世代の職を確保することもできれば、一石二鳥。
 赤字国債ではなく、新幹線やローカル線などの建設のための国債を買えばいい。新幹線など、札幌まで、早く開通させるがいい。山陰、北陸の新幹線も、どんどん建設をすすめる。税金から出すのではなく、年金基金から出せばいいのだ。アメリカの生命保険や国債などのいわゆる金融商品を売り買いして、利益を出そう等という連中にお金を預けるな。という趣旨のエッセイ。

 ちくまの連載の原稿は、現在進行中のフランス大統領選挙のジャン・リュック・メランション候補について書いた。
 年末・正月をフランスで過ごしたが、その時「ジャン・リュック・メランション候補に聞く」というフランス2局の番組を視聴して、初めてかれの映像に接する。その前に、かれの著書は少し読んでいた。そのとき、過去の、群衆を前にしての演説や、政治討論などの映像の抜粋も紹介された。視聴して、昔からぼくが抱いていた政治家像ぴったりの人間を彼の中に見た。ユーモアのある政治家、難しい政治経済の状況をやさしく説明できる政治家。そういう状況で、ぼくたちに、今何をなすべきかを示せる政治家。しかし、かれは共産党に支持されているという理由で、フランスのマスコミからボイコットされ、かれの主張は、ほとんどメディアを通じては国民に届かなかった。だが、おもしろおかしい、肩のこらない、元気の出る演説で、少しずつ支持を広げ、今では無視できない存在になってきた。この番組を見た視聴者が、かれに魅了され、支持率が倍増したという。
 正月以来、ぼくはかれの記事をおい続けている。つい最近は、大統領選挙開始に合わせ、バスチーユ広場へ、という決起集会を開いた。その日集まったのは12万人。メーデーでも集まらないような人が集まった。
 4月の22日の投票日まで、あとひと月ある。その間に、かれが上位三人との差をどこまで縮めることができるか。リレーでも、下から上がってきて、上位を一人二人と抜き去るシーンを見ると、誰でも興奮する。今度のフランス大統領選挙では、そういう興奮を感じることが出来るかもしれない。抜いてくれれば、ストレスは最大限発散できるだろう。ギリギリまで迫ってくれても、かなりの発散が可能だ。旧ソビエトの崩壊後、うっとおしい空気の中でずっと生き続けてきた労働者たちも、久々に、応援できる対象が見つかった。
 日本にも、こんなタイプの政治家が、左派から出てきて欲しい。自民、民主に飽きた日本の大衆が、日本のル・ペンのような橋下大阪市長に騙されるのを防ぐためにも。

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