36:打てば響く 2012年4月10日分 転載 ビートル 04/11 20:01 なだいなだのサロン「打てば響く」、2012年4月10日の記事の転載です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4月10日 ぼくは怒っている。 消費者物価が下がっているだと!たわごとだ。こんなヴァーチャルな数字に騙されるな!コメとコンピュータと自動車を足して割って、物価の平均だと。 消費者物価がデフレで下がった分、公務員給与を下げ、それに比例して年金を下げるということだ。驚いたことに、年金(ぼくはもらっていない)受給者の老人たちから、強力な反対意見が現れない。みな、諦めムードなのだろうか。これではますますデフレになるばかりだ。消費者物価が下がっているなどと、いっている政治家官僚は、どこに目をつけているのだろう。スーパーに買い物に行ってみろ。 はっきりしているのは、かれらが現実には目を向けていないことだ。自動車だとかコンピュータだとか、数年に一度(ぼくなど自動車は10数年に一度だ)の買う物と、コメだとか野菜だとか毎日買うものを混ぜて出したヴァーチャルな平均の数値だけを見ていっているのだろう。庶民の感覚、毎日生きるために買い物をしているものの感覚では、ガソリンが値上がりし、野菜も値上がりし、肉も魚も値上がりし、値上がりの瞬間風速は、もう大変なインフレといっていい。 このあいだ、ゆとり教育で、数学の基礎ができていない大学生が増えたと、数学者が記者会見を開いて、警告していた。その問題の一つが平均の問題だった。「あるグループの平均値は、グループの大多数の値に一致する。正しいか、間違いか」正解は間違いだが、最近の大学生は正しいと答えるそうだ。この数学者たちは、コントロールをとったのだろうか。それとも大学生にだけ質問して、ゆとり教育の結果学力が低下したと結論したのだろうか。ぼくは、この数学者の学力がかなり低下していることを憂えた。コントロールの値と比べないで結論を出すなんて研究者として論外だ。実は、この問題には、多くの人が引っかかるのだ。大金持ちが仲間にくわわると、そのグループの平均所得は実感より上の方にずれる。それなのに、大多数がその所得だと思い違いしているものが多い。政治家官僚に特に多いのだ。日銀総裁に同じ質問をしたらどうだろう。間違いに気が付けば、年間1%のインフレ等という努力目標を、持ち出すはずがない。日銀が円の守護者でなくなるのなら、総裁の給料を返上しなさい。喜んでいるのは大企業のための政治家、自称どじょう総理大臣くらいだ。庶民はインフレに大反対だ。インフレ率1%。定期預金の利率を据え置くなら、庶民の貯金は確実に1%目減りする勘定だ。だれが賛成する。 アダムスミスは、経済の目的は、国民の大多数を富ませることであって、平均値で富ませることではない。国民の大多数を富ませることであって、国を富ませることではない。国を強くすることでもない、と考えていた。倫理感の強いどころか、倫理学の教授であったアダムスミスを読み直してみるがいい。「一将功なりて万骨枯る」ではいけない、国が富んで、国民の大多数が疲弊するのはいけない。アメリカの住民は宗主国の王様を富ませるためにあるのではない。独立しなさいと、自身は英国民であったかれが、アメリカに独立を勧めたのだ。国民飢えて、ロケット上がるの北朝鮮のことを、インフレを目標とすると口走る今の日本の指導者が批判できるか。 あまり腹が立ったので、すこしまとまりがなくなった。でも、もう少し、みなも怒った方がいい。 |