打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

7:打てば響く 2008年 4月27日分 転載
ビートル 04/27 16:53
打てば響く 2008年
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4月27日

 サイト更新の遅れをお詫びします。この一大事のときに、なだ いなだは眠っておるのか、と思われた方も多いでしょう。後期老齢者健保の問題で、皆さんは大いなる怒りで盛り上がっておられましたが、小生もこの問題を受けての新聞や雑誌のインタビューの応対に忙しく、サイト更新を怠ってしまった次第です。前回の更新の期日に目をやり、怒りと共にあっという間に飛び去った日々を数え、自ら愕然としています。
 後期老齢者健保という名前は、政府が「しまった。悪い命名だった」と気が付き、あわてて別の名前を持ち出してきたようですが、この名前が怒りと共に定着してしまったようです。今さら名前を変えても、内容が変わるわけでもなし、これまでだまされ続けてきた老人が、これ以上だまされないために、気に入らない名前のままでいいと思うようになったからでしょう。
 食糧問題
 さて、後期老齢者健保、チベット暴動、聖火リレー妨害と、ニュースが続き、視線をかわされましたが、気が付けば、われわれ老人の足元を、食料品の値上がりという大問題が、脅かしています。チベット暴動に目を奪われていますが、援助に頼らなければならない貧困国でも、食糧問題が原因で暴動が起こっています。食料不足が原因とはいえ、いずれは食料の絶対的不足が起きるでしょうが、現在、実際に不足しているわけではありません。現在は、投機で儲けようとする金の亡者たち(残念ながら自由主義の経済の自由とは、こうしたものたちの金儲けの自由を正式な経済活動として保障するものです)、の貪欲さのために、値上がりし、同じ金で買える食糧が、突然半分になり、三分の一になったための不足です。規制緩和の掛け声で野放図に解き放たれた自由主義の矛盾のあらわれです。
 日本は、少し状況が違います。日本の食糧の値段はもともと高かった。というのは国内の農業の保護のため、食料の値段は、外国に比べ、高く吊り上げられていました。それが規制緩和主義者の標的にされていました。日本にいるおかげで高い米を食わされている、高いパンを食わされていると感じた人も多いでしょう。海外のこのところの農産物の値上がりで、ようやく日本の食糧の値段が、国際的水準になったというところです。つまり、日本の農業の国際競争力が、回復する条件が整ったということです。でも、その時が来たのに、日本の農業は、過疎化と老齢化によって、壊滅に近い状態にあります。
 おそらく、こうした状況の日本の農村を、資本主義は狙うことでしょう。老齢化した農民から、会社組織の農業経営の資本が、土地を買いあさるのではないかと思います。その土地の買いあさりのために暴力組織まで動員されるのでは、という暗い予感さえ抱き始めています。そこで起こるのは、農村の効率を求めての自然破壊です。そうした暗い未来のイメージが頭を過ぎります。
 目先のことばかりでなく、われわれ老人は、そうした未来の危険をしっかりと見据えて、農村と連携して、自分たちの未来の生活、後輩たちの未来の生活を、護っていかねばなりません。政治家の、危機対応の能力欠如を見ていると、かれらには頼っていられない、自分たちが行動しなくては、という気持ちになります。

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