打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

50:打てば響く 2013年2月3日分 転載
ビートル 02/03 10:33
なだいなだのサロン『打てば響く』2013年2月3日の記事を転載します。

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2月3日 「賢い国」のスローガン

 「ちくま」連載のコラム、「とりあえず主義」の次号の題は、≪「賢い国」というスローガン≫です。これは日教組新聞のコラムに、選挙に間に合うように、「賢い国」というスローガンを提案したが、買い手がつかなかったことを残念がる文章です。無料で売りに出しているのだから、買えばいいのに、とぼやいて見せています。
 ともかく、社会党も共産党も生活の党も、「賢い国」を取り上げないので、わが老人党だけでも≪日本を「強い国」ではなく「賢い国」に≫をスローガンに掲げようと思います。「強い国」をスローガンに掲げる党は、すぐに福祉を削り、軍備費をふやすだろう、といっていたら、その通りになりました。
 そして、なんとしても成長路線に戻すことを考えているようです。一家の家計をやりくりしている一般家庭は、まず何としても収入を増やそうとしますかね。とにかく収入を増やすために、借金して競馬で稼いで来い、なんて亭主をけしかけますか。賢い主婦は、収入は変わらない世の中だから、何とか、賢いお金の使い方をしようと考える。そこが腕の見せ所です。
 政治家の常識がいかに、生活者の常識とかけ離れていることか。
 賢い国は、自分たちの住む地球環境を破壊してまで、成長を望みません。原子力発電は安いエネルギーだなどという嘘にだまされない。反対が多くて、最終処分場も決められないので、その分の経費は抜きにして計算して、安い安いといっているのです。安いエネルギーなんていう財界人がいたら、賢い人たちは、そう反論しましょう。
 環境破壊の代償は、原子力の電力料金には含まれていない。賢い国は、発電量をただ増やすことを考えず、省エネルギーを考えます。省エネルギーの産業を育てます。環境保全には、省エネルギーが賢いやり方です。
 武器を生産するために、エネルギーを使ってしまうのは、北極や南極の氷を解かすスピードを速めているようなもの。氷が解けて海水面が二メートル上昇することは、全世界の海岸に二メートルの津波が押し寄せることです。日本の太平洋岸だけの津波と違うのです。そしてこの津波、押し寄せたままで、引いてはいかない。
 世界の二メートル以下の土地に、どれだけの畑や田んぼがあるでしょう。食糧生産はその分減ります。
 こういう風に、何が人間にとって賢い選択なのか、考えるのが賢い国です。
 日本のことだけを利己主義的に考えるのではなく、他人を思いやることが、結局、日本を救うことになります。

 ぼくは「賢い国」なら民主党のようにバラマキ福祉はしないと思います。あれは賢くない。お金はばらまくものでなく、賢く使うものです。
 何でもいいから名目上だけでも、ともかく成長することを目指したとき、バブルが起きました。その過去の経験を忘れてはいけません。あの時代、需要がないのに供給を増やした。それでも数字の上では成長だった。強い国を目指す人たちは、金融緩和だけで数字上成長させようとしています。賢い国を目指す人は、生活の質を向上させようとします。
 「強い国」というスローガンに対抗できるスローガンは「賢い国」しかないですよ。

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