打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載

53:打てば響く 2013年3月24日分 転載
ビートル 03/24 09:22
 なだいなだのサロン『打てば響く』2013年3月24日の記事を転載します。


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3月24日 基地がなくならない限り、沖縄の戦後は終わらない

 前回の感想を見て、驚かれた方もおられると思うけれど、その後、とくに自覚症状は現れず、毎日車に乗って病院まで行き、順番を待って、放射線の照射を受けて、与えられた薬(抗がん剤)をきちんとのむという、生活を繰り返しています。

 さて、政府は辺野古沖の埋め立ての許可を申請しました。突然の申請です。この問題に対するぼくの態度にぶれはありません。ぼくは沖縄には基地は不要と考えています。不要であるばかりではなく、戦後60年以上も経つのに、まだ占領状態が続いているような状況は不当です。いつまでも沖縄県民に、この状態を押し付けているのは、ぼくの良心が許しません。
 沖縄と国が対立したら、ぼくは沖縄の側に立ちます。
 政府は基地をなくすことを考えていません。基地による沖縄の苦痛を軽減するというが、基地をなくすという発想はまったくもっていないのです。

 そもそもアメリカは、戦術を変え、海兵隊を紛争地域に派遣することを、やめようとしています。その代わりに登場してきた、無人偵察機(ドローン)による作戦を重要視しているようです。このドローンも問題ありですが、今はそれには触れません。
 沖縄の米軍基地は、日本の安全保障上必要だ、と政府は繰り返し述べますが、日本の安全保障に役立ったと思われる事件は、これまでに一度もありません。ただ、アメリカの戦争に役立っただけです。
 アメリカは戦後、朝鮮戦争をはじめ、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争と、戦ってきましたが、朝鮮戦争をのぞいて、沖縄はそれらの戦争の直接の後方基地の役割を果たしてきました。もちろんそれらは、日本の安全保障とは関係のない戦争です。
 そしてその戦争の結果はどうか。ベトナムから米国は撤退を余儀なくされた。 イラクは、現在、アメリカの願ったような状態にあるか。それとはほど遠い。こちらも、撤退を余儀なくさせられています。
 アフガンではどうか。ゲリラには負けはなくとも、明白な勝利というものがない。その間、消耗戦を強いられる。経済的には、どうしても重荷になってきているという状態です。

  だれが見ても、もう沖縄のような基地を持ち、そこから海兵隊を出撃させるという戦略が、軍事的な意味を失ってきていることが明らかです。なおかつ日本に基地があるのは、日本が駐留費を払い、アメリカが兵隊を訓練する場所として、基地を安価に使用できるよう提供しているからです。
  日本はアメリカに忠誠心を示すために、沖縄の基地を提供しているにすぎない。アメリカは、日本が、駐留の面倒を見ているので、惰性でそれを利用しているだけです。
 しかし、沖縄の人たちに取っては、基地は、生活の質の問題なのです。毎日、騒音とともに暮らすのは、もううんざりだし、危険と暮らすのも、飽き飽きした。いい加減で、米軍には出て行ってほしいのです。静かに平和に暮らしたい。
 もし日本政府が、米軍の駐留を望むのなら、日本の本土のどこかに基地を探せばいいでしょう。できるなら首都の近くがいい。そうすれば基地と一緒の生活というものがどういうものかが、政治家にも、その支持者たちにも分かるでしょう。もしそのような話がでれば、基地候補地の周辺から、猛烈な反対運動が起こり、地元からの反対で、実現は不可能でしょうけれど。
 外国の軍隊の駐留などない方がいいのです。それが60年も続いてしまったとは。

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