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17 【5318】打てば響く 2009年5月12日、5月15日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-5-16 1:20:59  [返信] [編集]

    -------------
    5月15日 老人は、民主の首がどうなろうと、がたがたしない

     後先になりますが、5月12日の文章を書いたあと、日本に電話して、小沢の辞任を知りました。大騒ぎをしているようですが、ドレスデンのホテルでは、どういうわけかインターネットが使えず、すぐに反応できませんでした。しかし、その方がよかったのかも知れないと思っています。今はパリに戻りました。
     民主党の党首交代の機会に、自民党が乗じて総選挙に踏み切るか否か、などという判断は、日本にいない身では、空気が読めないので、なにもいえませんが、いまさらじたばたしても、仕方がありません。というより、老人はじたばたしないところが取り柄だと考えた方がいいでしょう。
     ぼくたちが、政権交代を望んでいるのは、民主党を支持しているからではありません。だから最初から、目をつぶって、鼻をつまんででも、政権交代させるために投票に行こう、といっているのです。ともかく日本に政権交代の習慣を根付かせることが必要です。「責任政党」と名乗りながら、まったく責任を取らない政党に、有権者は痛いお灸をすえる必要があるのです。今
    は、そのことだけを考えていればいい。それで腰が据わります。
     ぼくがドレスデンに行く時乗った飛行機は、ドイツのデュッセルドルフ空港のストライキで大幅に出発が遅れました。ドレスデンでは、ぼくが着く前々日に、デモがあったみたいです。ヨーロッパの経済優等生だったドイツも、今は苦しんでいます。それをこの小さな旅行の間にも感じました。今回の不況は、麻生式ばらまきで回復させることが出来るような、生易しいものではありません。小沢の失脚程度のことで、がたがたするのとは、次元が違う問題です。
     こちらは新型インフルエンザであまり騒いでいません。マスクをして歩いている人を見かけません。ただ、やるべき人が、黙って対策を進めている。騒ぐことはない。パニックだけは防げます。


    -------------
    5月12日 ドイツで考える

     パリからドレスデンへ、八十歳を目前にした一人旅です。何をやっても、これが最後の‥?になるかも知れないな、という考えが頭をかすめます。こうして、ドイツにまでやってきました。
     この一年、踵の痛みに悩まされ、後輩の整形外科に「年ですよ、なんなら踵にぶっとい注射でも打ちますか。痛いですよ」などと脅され、注射嫌いのぼくは、半分治ることを諦めていました。しかし、歩くと痛むし、歩かないと太る。太ればまた踵が痛む、という下降スパイラルに陥っていました。とにかくそこから脱却しなければならないと、近くにペインクリニックが開業したのを知り、ぶっとい痛い注射を我慢してやってもらおうかと覚悟を決めてでかけました。するとペインクリニックの医者は笑いながら、一番細い針でやります。ちくっとするくらいです、と局所に注射してくれました。そのあと、驚くほど痛みが薄れ、歩けるようになりました。あの整形外科の医者め、「年だ」などといいおって!と自分の弱虫を棚に上げて、心の中で毒づきました。ともかくペインクリニックの注射のおかげて、今日も一万歩以上を歩けたという次第です。
     ドレスデンは、ぼくの私淑していた、エーリッヒ・ケストナーの生まれ育った町です。ドイツの戦争が終る数日前に、連合国軍の空爆で「一日にして、というよりは数時間で、地上から消え失せた」とケストナーはいっています。ことに、軍事施設のない、歴史的文化遺産の集中した古い街が標的にされました。この犯罪に連合国も気がついたようです。でも、けっして責任を認めようとしませんでした。ケストナーは、他人に責任をなすり付けるだけで、だれも責任を認めようとしない、と嘆き、たとえ勝者の権力者であっても、罰しなければいけない、とかれにしてはかなり感情を生でぶっつけるような文章を書いています。残念なことに、ケストナーはドレスデンが、ここまでの再建された姿を見ていません。

     そのドレスデンに来て、歩いてみて、ドイツ人の、意地というか、執念というか、そういうものを感じています。やるとなったら、徹底してやる。麻生首相は、ちょっとの間ドイツに来ていたようですが、きっと何も見なかったのでしょう。ドイツがエコカーへの買い替えを促進するために税金を使うことだけを真似して得々としています。
     高速の料金を、上限千円まで引き下げて、無理矢理車を使わせ、ゴールデンウイークには日本のあちこちで大渋滞を巻き起こさせましたが、これでどれだけCO2排出を増大させたか。ドレスデン市は、中央駅から始まるプラーガー大通りは、旧市街まで歩行者専用です。そこで市電が横切りますが、その後もエルベ川の川岸まで歩行者天国です。エルベ川も、チェコではウルタヴァ川と呼ばれている国際河川ですが、水は驚くほどきれいでした。
     こんなに美しく再建された町を子孫に残すことのできるドイツ人を、少し学ばねばなりません。世界遺産の指定を受けましたが、破壊されてからの世界遺産指定というのも珍しい。再建の仕方に示された、ドイツ人の文化哲学に、世界遺産という勲章を与えられたようなものです。
     ぼくの住んでいる鎌倉も世界遺産として認められたくて運動していますが、その一方で今の市長は、ミニ開発をどんどん認めて、緑を破壊し続けています。なんて嘆いていても始まらない。そんな市長を再選させたのは、ぼくたちの無力が原因なのですから。
     それにしてもドレスデンの緑の豊かさには圧倒されます。鎌倉時代に始まる古都ですが、文化遺産と緑のコンビネーションが絶妙です。あちこちの公園には、一抱えも二抱えもある大木が、今新緑を芽吹かせています。

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18 【5416】打てば響く 2009年6月1日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-6-1 19:54:53  [返信] [編集]

    ----------------
    6月1日 これから、何度も繰り返していう

     八十歳の誕生日まであと八日に迫った。そこで過去を振り返り、未来を見ることにする。

     ぼくは中学生のときに、生意気な生徒だった。誰にだって議論を吹っかけた。校長にも質問した。校長は弁護士出身の細川という人だった。
    「先生、数学では単位が同じものでなければ、足して総数を割っても平均にはならないと教えます。先生の給与の平均は、四十人の先生のもらっている給与を足して、四十で割れば給与の平均が出ますが、あるものの給与と別のものの体重とまた別のものの給与とを足して、先生の総数で割っても、平均にはなりません。牛と豚とニワトリの数を足して、家畜の平均頭数を出す
    のは無意味です。それなのにどうして算数と国語と英語の点数を足して割って、平均点といえるのでしょう。そもそも数学的には足してはいけないものです。その平均点で生徒の順位をつけるというのは、ますますもってけしからぬことです。ぼくのいうことは、間違ってはいますか」
     ぼくの中学では学年末、試験得点に基づいた学年全体の順位を、みなの見えるところに(いや、皆に見せるためにだ)張り出すのが習慣だった。
     細川校長は、生意気な生徒の面会の要求を受け入れ、校長室で一対一で話を聞いてくれた点で、今になって考えると、立派な人だったと思う。少なくともその一点では。そしてぼくに答えた。
    「おまえは正しい」
    これもなかなか勇気のある返事だったと思う。
    「では、即刻、止めましょう。試験の後平均点を出すこと、それに基づいて順位を決めることを」
    だが、校長は、それはできないといった。
    「なぜでしょうか」
    「長い習慣だからだ」
    「誤りに基づいた習慣は、陋習というものだと国語で習いました。陋習は改めるべきだと昔の人もいっています」
    「世の中の学校全体がやっていることを、うちだけ止めることはできない」
    「やりましょう。やったら、世の中の陋習を破った日本最初の中学という名誉は、わが中学のものとなります」
    だが、それはできない、と校長ははっきりいった。
    「おまえはまだ世の中を知らん。世の中の間違いを直すのは、お前の考えている以上にむずかしいことだ」
    ぼくは、その辺で引き下がった。なぜだかよく思い出せない。このことは「クレージードクターの回想」という本の中に書いた。今書いたのと正確に同じ言葉によってではないが。いわばヴァージョン違いといっていい。
     世の中の間違いを変えることが、校長のいったようにむずかしいことは、これまで生きてきてよく分かった。だが、今、思う。これは変えねばならぬ。死ぬまでに、この世の中の誤りだけは正したい。センター試験などによって、無意味な順位がつけられ、そのトップがエリートとして世の中を支配する国では、本来多様である人間の価値が認められなくなっても当然である。
     最低でも、ぼくは文部大臣に、平均点で順位をつけることの数学的正統性の有無の討論をして、返事をもらいたい。これからの日々をそれに賭けよう。しつこく、何度も迫っていくつもりだ。だれか、ぼくに手を貸してくれないか。
     今の大臣など、阿呆の集りではないかと思うが、一人、東大の一番むずかしいといわれる学部を、主席(一番)で卒業した大臣がいるそうだ。その大臣に、答えてもらってもいい。

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19 【5636】打てば響く 2009年7月15日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-7-15 22:33:25  [返信] [編集]

    ----------------
    7月15日 東京都議会選挙結果をみての感想。及び軽井沢町長宛の手紙。

    いよいよ総選挙が迫ってきた。今度の総選挙は、かなりの泥仕合になるのは避けられないと思う。ますます政治のイメージは悪くなり(ま実像に近くなると思えば大したことではないが)、泥仕合に巻き込まれないで、超然としていられる政治家がいたら、きっとその政治家の株は上がるだろう。だがそうした政治家が幾人いるか。
    泥仕合にならないためには、まずヴィジョンを闘わせることだ。
    マニフェストを書くなら、この国をどちらの方向に向けるかの長期ヴィジョンと、とりあえず、今何をなそうと思っているか、という短期ヴィジョンをはっきり分けて書くといい。たとえば、競争社会を続けるのか、相互扶助社会に向けて舵を切るのか、大国日本というゴーマニズム的な虚栄心を抱き続けるのか、そのために国内の弱者を切って棄てるのか、あくまでも実力はあっても謙譲な姿勢で、近隣に先輩として接し、国内の調和ある社会を実現し、民主主義のモデルになろうとするのか。そうした、国民に選択させる政治哲学を示さなければならない。それによって、景気対策をではなく「いかなる景気対策を」が選択の問題になってくる。麻生内閣の景気対策は、将来の日本を考えるどころか、将来の日本に付をまわすだけの、ばら撒き景気対策だ。相互扶助の精神に基づくなら
    ば、お金はもっとも困っている人のために使われねばならぬ。予算が足りないときは、分捕り合戦ではなく、譲り合わなければならない。そのために必要なのが、選択の基準となる日本の未来のビジョンだ。
    これが都議会選挙結果をみての感想。

    次に個人的な問題であるが、軽井沢町長に宛てた手紙をこの欄で公開する。同じものを信濃日日新聞にも送るつもりだ。取り上げてくれればよし。くれなくともよし。ともかく一石を投じたい。ちょっぴり皮肉を込めているが、ぼくたちには軽井沢に夏住めるかどうかの瀬戸際であり、内容は読んでくださればお分りいただけるだろう。


    軽井沢町長 佐藤雅義殿

    前略、形式的季節の挨拶などは全部省略させていただき、用件のみを書きます。
    先ず自己紹介からいたします。小生、中軽井沢(上の原)に別荘を立てて以来四十年になります。現在八十歳です。業は作家で、なだ いなだというペンネームを用いています。昨今は、ヴァーチャル政党老人党を、インターネット上に立ち上げています。軽井沢は夏のみの住民ですが、町民税の滞納など、一度もしたことがありません。
    では用件に入らせていただきます。
    先ず、お願いの件を申し上げます。一週間前、今年も軽井沢の小生の別荘を開きに出かけましたが、今年もというべきか、小生の別荘の敷地に、ゴミが投げ捨てられておりました。散乱しておらず、大きな袋ごと入り口近くに、松の幹の後に隠すように捨てられておりました。こうした不法投棄ゴミは、これまで、それを集め、自分で処理場まで車で運んできましたが、前回は新幹線利用でしたので、それもできませんでした。考えて見てください。八十の老人が、その大きなゴミ袋を抱えて、どこにもって行けばいいのでしょう。近くの集積所まで往復で一キロ半以上、痛い足を引きずっていく姿をご想像ください。しかもその日は、収拾の時間は過ぎており、また分別していないゴミは、持って行っても、捨てようがありませんでした。
    お願いですから、この不法投棄のゴミを、町の手で処分してください。ゴミ不法投棄は犯罪です。空き地に町の立てた看板にもそう書かれておりました。放置されたゴミを放置したままにするのは、行政の犯罪とまではいかないにしても、それに近いのではないかと思います。十年前には、こういうことはありませんでした。これは町のゴミ行政の変化に関係があります。大きな別荘団地は個々にゴミ集積場を持って管理していますが、それ以外の土地に住む別荘族は、軽井沢を引き上げるときに出たゴミを持っていく場所がありません。かつては小生の別荘から歩いて二百メートルのところにあった集積場は、姿を消し、永住町民の住む、駅近くや公民館近くにまで、運ばねばなりません。しかも回収時間が朝早く、小生など、のろのろ歩いて数分遅れてしまったために、もう集積場の扉が閉められていたころがありました。その結果、生ゴミを持って、同じ道のりを戻らねばなりませんでした。老人にやさしい行政です。こうすれば老人には運動になり、アスレチックジムに通うことなく、活動能力を保存することができるという、高遠なお考えからでしょうか。ま、そう皮肉もいいたくなります。
    ゴミ不法投棄の根には、こういう別荘住民の都合や便利を全く考慮しない町のゴミ行政があると考えられます。つまり犯罪を起こさせている原因の一つが、行政である、とわたしは考えます。
    四十年欠かさず、税金をきちんと払ってきている夏季住民としては、このまま我慢しているわけにはいきません。何とか解決策を考えていただきたく、お手紙を差し上げることにしました。
    わたしとしては案があります。分別したゴミを回収する車を別荘地に巡回させることです。時間を決めて決められた場所に停まる。こうすれば集積所を新しく設置するよりも費用がかからず、高齢者としてはかなり助かります。若い人が助かるのはもちろんのことです。
    「最近の若い別荘族は」と、モラルの低下(困ったことではありますが)を批判しても、解決にはなりません。どうしたら、有効に不法投棄を防げるかです。どのようにして、法規を守る普通の町民の生活を、不法投棄の犯罪被害から救ってくれるかです。
    前に、一度、ゴミ問題に関して、小さな雑誌に「軽井沢町長殿」と、公開の手紙を書いたことがありましたが、小さなメディアだったせいか、お目に止まらなかったのでしょう、お返事をいただけませんでした。今回は、小生も同年の家内も、肉体的な限界にあり、忍耐の限度に来ています。家内はフランス人ですが、ゴミの不法投棄がやまない軽井沢が、国際避暑地などと自慢できるかと怒っています。そしてわたしに、このゴミを持って町長室の前に不法遺棄して来ましょう。でなければ座り込みをしましょう。わざと業務妨害で検挙されて、裁判で争いましょう、と小生をけしかけていますが、小生もだんだんとそのような直接行動が必要だという思いに傾きかけています。小生が町長室にゴミ袋を抱いて座り込みし、町長殿とご対面ということになるかもしれません。そうならないことを祈るのみです。とりあえず、この手紙の内容を検討していただき、お返事をいただけることを、期待します。
    こころのこもらぬ儀礼的美辞麗句など、一切いれない、用件のみのお手紙ですので、無礼とお感じになられましたら、お詫びします。一日も早いご返事と、問題の解決を、お願い申し上げます。

    二〇〇九年七月十五日
    軽井沢町夏季町民
    なだ いなだ

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20 【5813】打てば響く 2009年7月30日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-7-31 0:13:38  [返信] [編集]

    ---------------
    7月30日 感想

    軽井沢町長からは、未だに返事なし。八月一日に軽井沢に行き、現状を見て、次の行動を考えます。
    選挙間近ということもあって、原稿の依頼が多く、医事新報の巻頭コラム「プラタナス」にも「老人の一票」という題で、老人党について書きました。全国の医師の間に広く読まれている雑誌です。これまで医師会は、自民党の支持者が圧倒的多数を占めてきた団体ですが、ここでも変動が起きているようです。
    次の日曜日、八月二日の東京新聞に、老人党は今、というような題で、大きくインタビュー記事が載ります。老人党発足当時、この新聞は、われわれを大きく取り上げてくれましたが、当時の責任者は、二年半アメリカに転勤となり、特派員としてオバマの選挙に密着取材していました。最近日本に帰任され、再び老人党を追跡してくれることになりました。

    さて、ここからが、本題です。

    題は「民主党よ、焦るな」としましょう。
    民主党はマニフェストを発表しましたが、このマニフェストを読んで、「鳩山よ、民主党よ、焦るな」と声をかけたくなりました。そんなにばら撒かなければ、勝てないと思っているのか。待っているだけで、熟した果実が落ちるように、政権は民主党の手に落ちてくるのに。このマニフェストは、票欲しさに、ばら撒きの約束をしすぎています。有権者は、もう少し賢くなっています。このマニフェストなど、あってもなくても、民主党に投票します。有権者は民主党支持者としてではなく、この辺で政権交代させ、霞ヶ関のアカを落とさせようと考えています。つまり、キングメーカーとして投票するのです。今こそ自分たちの意志で、選挙で政権を選択できるのだ、という充実感をもって投票するのです。
    高校教育を無償にするなどという約束は、ばら撒きです。麻生と同じことではないですか。勉強する気持ちの強い子どもで、家が貧しい人を、授業料を免除するというのは分かります。資産家や政治家や高級官僚の息子や娘まで、無償にすることはありません。親が、塾通いに、高いお金を、払っている子どもたちの授業料を無償にする必要はありません。限りある税金を、無駄に使うことはない。全員にばら撒くより、援助を集中することがのぞましい。同じ予算なら、本当に援助して喜ばれる人たちに、十分な額が行き渡るようにするべきです。「もらわねば損」という考え方より、余裕のある人が困っている人を助ける、助け合い、相互扶助の精神で、少ない予算をやりくりする。これでこそ、日本に住んでいてよかったということになります。愛国心なんて説教しないでも、自然にこの国への愛情がわきます。困ったときに助けてくれる、人への連帯感としてです。
    年金も基礎年金をちょっぴり上げるだけでは意味がありません。ここにも相互扶助の哲学が感じられません。人をまとめていく原理としての哲学が、助け合いです。これまで競争して、格差社会を生んだのだから、別の方向に舵を切ろう。有権者のその気持ちが分からないなら、民主党は、その点で、まだ成長しなければならないでしょう。
    老人党の有権者は、美味しい約束を待っているのではありません。もう少し政治的に成熟しています。他の有権者は、小泉登場のとき、英雄待望のような気持ちで、投票したかもしれません。しかし、今では、英雄待望のような気分で、自民党に絶対多数を与え、日本を格差社会にしてしまったことを悔いているでしょう。その人たちも、反省して、ちょっぴり政治的に成熟しているはずです。
    民主党よ、老人党のこうした意見に、耳を傾ける余裕をもてますか。焦る必要はないのです。

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21 【5985】Re: 打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム) 転載
北極星   運営スタッフ 2009-8-7 21:38:01  [返信] [編集]

    【打てば響く】報告 8月4日

    この欄で、軽井沢町長に、ゴミ問題で思いあまって手紙を書いたことを書きましたが、その後の報告です。

    今日、数日遅れで(鎌倉は温度が上がらず、避暑に行く理由がなかったので遅れた)軽井沢の別荘に来ました。築四十一年の別荘は、僅かの間に草のせいが伸び、ブヨにさされたくなかったら、明日は草刈りに専念しなければならないでしょう。さらに、風呂に問題が起き、今日は風呂にも入れず、お湯が出ないので、皿洗いもお休み。

    しかし、よいこともありました。あの大きな袋に入った庭のゴミはどうなっているか、まず到着早々に、庭の松の木の根元を見たのですが、消えていました。町役場の人が撤去してくれたらしいな、と直ぐに思いました。そして入り口のドアを開けると封筒が落ちてきました。
    差出人「軽井沢町生活環境課防犯係」。封をあけると町長からの小生への返事が書かれていました。ゴミは町で撤去した。今後も同じような不法投棄があれば、電話をくれれば撤去するとのこと。手紙を書いた甲斐はありました。

    当然のこととは思うけど、老人は礼儀正しい。礼をいいます。町長、感謝します。
    ともかく一安心。近くにゴミ集積所がないことは町でも認識しているので、近隣で話し合って、ここに置いてくれというところがあれば、設置するとのこと。小生の隣は、空き地があり、所有者が草も刈らず、倒木も処理せず、ブヨの隠れ家にもなっているので、地主に交渉して、ここに集積所を設置してもらえないか、提案してみようと思います。

    一応、解決のめどが立ちました。解決まで、時間がかかりそうですが。ともかく、ダメでもともと、やってみること。手紙を書いたのは正解でした。

    掲示板に寄せられた意見について
    選挙モードにスイッチが入ったせいか、掲示板がぐっとにぎやかになりました。本来は老人党掲示板に送ってもらいたい書き込みが、多くなりましたが、選挙が終わるまで、我慢します。

    怒りについて
    老人党を立ち上げたのは、老人が馬鹿にされているのを感じた怒りからでした。

    しかし、ただ怒りを相手かまわずぶっつければいいというもではありません。掲示板にはそういう八つ当たり的なものがかなりあります。目的を達するには回り道することも必要です。目的地が目の前に見えているからといって、真っすぐにすすめばいいわけではない。目的まで何が障害になるか地形を観察するのが第一です。

    そしてベースキャンプを何処に置くか、登攀のコースをどうするか、を研究しなければいけない。しかも登坂途中で気象その他の条件を考えて、決断しなければならないこともある。

    前にも書きましたが、自民と民主は八割がた同じ体質の人たちです。憲法の問題、経済の基本問題など、危ない感じの人も民主には混じっています。マニフェストにも気に入らないところがある。
    しかし、当面、政権交代が第一歩とぼくなどは考える。鳩山も、マニフェストが実行できなければ、直ぐ下野の覚悟であるといいます。こうして政権交代が何回か起きるうちに、能力のない二世三世議員は姿を消すでしょう。

    突然、ポピュリストの政治家が、ヒトラーやムソリーニのように出てくる可能性もあるから(最近の人気知事にはそんな感じを持たせる人もいる)、注意をしなければいけない。しかし、とりあえずの目標に、力を集中しなければ、第一歩を踏み出すことが出来ません。怒りを直ぐに爆発させず、回り道が出来ることこそが知恵を持った老人にふさわしい。老人は、同時にどんな危険の芽にも、目配りも怠らない。怒りはそのように変えていかねば、政治を変える力にはなりません。

    残念ながら、目標の峯に登るための作戦を描くようなマニフェストを書いてくれるような政党は見当たりません。共産党も、分析は正しいし、遠い目標としては、多くの人が望むことを書いている。しかし、書かれていないのは、自分たちの目標を達するには、どういう行程表が考えられるかだけです。しかし、これが実用的には大切です。民主主義の現体制のもとでの行程表を書くことが残されています。

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22 【6384】ご意見拝聴(『なだいなだのサロン』掲示板) 転載
珠   運営スタッフ 2009-8-19 0:25:08  [返信] [編集]

    先の先を読む   投稿者:なだ いなだ 投稿日:2009年 8月17日(月)22時56分55秒

    先の先を読むことが必要です。山を登るにもルートを探さなければならないでしょう。まず政権を交代させる。そこを経ないと先に進みません。

    民主党のマニフェストの「学費無償化」はバラマキです。そのための金が今あるなら、今、子どもが学校に行きたいのに、学費が出せないという人のために使います。生活支援のためです。でも、それでは票にならないと考える人が民主党の中にいて、あのようなマニフェストを作ったのでしょう。

    学費を無償にしている国はたくさんあります。日本も将来その方向に進むべきでしょう。それに異論はありませんが、そこに行くには、まず助け合いで、困っている人に税金を使うべきです。自殺者が年に三万を超えている状態を、何とかするのが先決です。

    しかし、それを論じることができるためにも、政権交代を実現することです。

    民主が自公と同じことをするようなら、また政権交代です。そして、ぼくたち有権者がキングメーカーなのだということを、政治家に思い知らせることで、政治を変えていこうとぼくは思っているのです。目先のマニフェストは、先の先を読めない、馬鹿なジャーナリストたちに議論をまかせておきましょう

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23 【6659】打てば響く 2009年8月28日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-8-29 0:20:04  [返信] [編集]

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    8月28日 その次は

     いよいよ選挙が近づいてきました。
    新聞やテレビなどの予想によると、どうやら政権交代が行われそうな雲行きです。政権交代を、と主張し、後期高齢者健保は廃止を求めてきたぼくたちですが、これで、ようやく第一歩を踏み出すことになります。2003年の発足から数えて、六年と数ヶ月、「もう」とも思えますし、「やっと」とも思えます。しかし、これからが大変です。
     健保はだれがやっても解決の難しい問題です。アメリカでも、圧倒的な支持を得て当選したオバマ大統領ですが、健保問題では、なかなか手こずっているようです。
     ぼくは健保でかかれる病気を、ある程度制限する方向に進むべきだと思います。いわゆる風邪引きは、医者にかかるなら自費で、かからないなら、自分で薬剤師と相談して薬をのむ。クスリはのまないで、しょうが汁を飲むとか、ねぎの熱いスープを飲むとかの、それぞれのおふくろ伝来の風邪の対処法などをやるのもいい。そのかわり肺炎を起こしそうだったら、ためらわず健保を使って医師の治療を受ける。擦りむき傷は、昔のように、親が消毒薬を傷口に塗ってやればいいのです。アルコール依存の患者の治療は、酒税から出させる、というのはぼくの40年来の主張です。このあたりでまじめに取り上げてもらってもいいですね。
     老人党は先をいきましょう。これから、そういう面で議論をリードする存在になれたらいいですね。

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24 【6718】打てば響く 2009年8月31日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-8-31 17:45:47  [返信] [編集]

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    8月31日

    選挙の結果を見ての感想です。
     ぼくたちがやろうとしていたこと、(自公を退陣させること、しかも徹底的に敗北させること)は実現しました。それが第一ですが、その他にも、この選挙にはどのような意味があったか、考えてみました。

     戦後六十五年経って、首相を有権者の投票で直接に決めることができました。単なる偶然か、鳩山一郎の孫を選ぶか、吉田茂の孫を選ぶか、という選択になってしまいましたが、ともかく有権者のわれわれがキングメーカーになれたのです。まだ、鳩山と吉田の影を引きずっていますが、二人の生きた姿を見たことのある人は、有権者の中にも少なくなってきているでしょう。
     次の大きな意味は、公明の小選挙区での敗北です。代表と幹事長を落選させたことです。これは浮動票と呼ばれていた層が、選挙に参加して、高い投票率がえられた結果です。偉い人(ボス)の指示通りに投票するものを、自分の考えで投票する人たちが、上回ったということです。民主主義にブレーキをかけていた宗教票の限界を悟らせることになればと思います。宗教は政治と切り離さなければなりません。
     それと、女性議員の数が一気に増えたことです。日本の政治も見た目が華やかなものになるでしょう。戦後第一回の選挙で、日本に女性議員が初めて登場したのを見た人間としては、それからが長かったなあという思いです。
     戦後、硬直してきた外交にも、柔軟性が戻ってくるのでは、と考えます。世界で一番硬直した外交官が、日本の外務省の外交官でした。
     さて、前回にも触れましたが、これから高齢者の健保、年金の問題など、解決可能な方策、制度の変更を考えていくときがきました。政権の選択の時には、頭が熱くなって、意見の違いが罵りあいになったりしがちですが、今後四年の時間があります。ゆっくりじっくり考えていきましょう。
     生活苦からの自殺をへらすこと、ワーキングプアの問題を解決することは、緊急の課題ですが、きびきびしたスピード感ある対策を打っていけば、それができた政治家は、きっと名声を得ることでしょう。腕のみせどころです。
     ぼくたちはじっと見守りましょう。厳しい視線は、政権交代しても変えることはありません。これが、とりあえずの感想です。
    ほっとしたら、ちょっぴり疲れが出ました。飄飄としているつもりでしたが、あちこちに、かなり力が入っていたのでしょう。

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25 【7253】打てば響く 2009年10月5日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2009-10-5 17:49:31  [返信] [編集]

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    10月5日 鳩山新内閣とバラク・オバマ自伝「マイ・ドリーム」

     感想です。
     九月十七日、鳩山新内閣が発足しました。それから、まだ二週間とちょっとしか経っていないのですね。でも、もっと長い時間が過ぎたような印象です。
     内閣発足の日に、この感想は書き始めたのですが、締め切りの原稿などで中断していました。「しばらくは、この内閣のやることを、じっと観察することにします。ぼくたち老人は、長い間の日本の政治を見てきたので、かなり政治不信に陥っていますが、評価するには、しばらく待たねばならぬことは分かっています。だから、待ってしばらくは見守りたいと思います。鳩山首相が、国連総会出席の機会にアメリカに行き、そこでオバマ大統領と会見し、どんなことをいうのか、総会ではどのような演説をするのか、などなど、見ることはたくさんあります」と書いたところで中断でした。
     その全てが、一応済んだところです。ま、かなり努力しているところは分かりました。権力を掌握し、その権力を使って何をするのか、少しは見えてきました。
     天下り廃止には本腰を入れるようです。数年前、全家連(全国精神障害者家族連合会)が破産しましたが、そこにも官僚が天下りし、補助金をもらい、(もらうために無理な事業を起こし)借入金の返済ができなくなったのです。小生の元患者で、病気からの回復後、この連合会の誕生に力をそそいだ人が、事業拡大に反対して、天下り官僚に追い出され、告発の本を出しましたが、最近になって、ようやく検察が動いたようです。天下り官僚としては小物ですが、少々の告発では検察は動きませんでした。天下り官僚が、せっかく育った精神疾患の患者家族会の連合を、政治に巻き込んで潰してしまったのです。
     政権交代で、検察すら、ちょっぴりは変わるかもしれません。

     それから、今、偶然本屋で手に取ったバラク・オバマ自伝「マイ・ドリーム」を読んでいます。英語の本を買ったのですが、翻訳が出ていることを知り、そちらを読んでいます。原書の初版はなんと1994年です。そして2004年に改訂版が出た。日本語の訳も、2007年に出されたものです。大統領になったから、慌ててゴーストライターに書かせて出版させたような類いの本ではありません。米民主党の大統領候補になる前に出されたのです。しかし、これがすごく面白い本です。面白いという言葉が、貧弱に感じられるほど面白いのです。バラク・オバマが、大統領選挙で勝つ前に、この本を読んでいた人は幸せです。大統領に当選した人という偏見を持たずに、ある若い政治家の自伝として、読んで純粋に感動できたのですから。大統領選挙の前に書かれたこの本に、かれが若いころ、大麻や麻薬をのんでいたことがあることも書かれているほど、正直な自伝です。
     今、あちこちにマーカーで線を引きながら読んでいます。読み始めたら、途中でなかなかやめられない。アメリカ合衆国は大した人間を大統領に選んだものです。この人に二〇年ほどアメリカ合衆国の大統領をやっていてもらいたい、と思ってしまいます。でもアメリカ憲法がそれを許さない。
     残念です。もう読んでしまわれた人も多いと思いますが、読まれていない人には、是非読むことをお勧めします。

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26 【8450】打てば響く 2010年1月13日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2010-1-14 19:19:04  [返信] [編集]

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    1月13日 年初の感想

     社会の記憶力

     2010年の年初の感想です。型通りの挨拶は一切省かせていただき、その
    かわり、この一年、あまり活動的でなかったことをお詫びします。サイトの更新
    ももう少し頻繁にできるはずだった、などと新年を迎えてまたまた反省を繰り返
    しているところです。

     さて《なださんは頼りないなあ》と思われているのではないでしょうか。社会で
    事件が起きたとき、それについてのぼくの意見を知りたいと思っても、ぜんぜん
    ホームページに反応が現れなかったですものね。また老人党のサイトで論争が
    起こっていても、反応なしでしたからね。

     しかし、故意に沈黙していた訳ではありません。反応がのろいだけです。反応
    しようとしているうちに、のろくさだから、次の事件や次の論争にみなさんの関
    心も移ってしまう。せっかく準備した文章が間延びしたものになって、結局止め
    にするという流れになっていただけです。ですから改善の見込みがない訳はあ
    りません。

     しかし、負け惜しみではありませんが、のろくさにもいい点があります。少なく
    ともぼくはそう思っています。反応なんて、ただ早ければいいというものではあ
    りません。ゆっくりと熟考して反応することだって、同じくらい大切です。ぼくは、
    どちらかというと、反応が鈍い方ですが、それでもそこがぼくの得意とするとこ
    ろなのだと考えています。人それぞれ得意があるのもいいでしょう。

     今、ぼくはパリにいます。子どもたちは皆フランスに住んでいるので、一年に
    一度、格安航空券で、家族を訪ねるのが習慣になっています。それで今はパリ
    です。外国から日本を見つめるというのも、思考のリフレッシュには役立ちま
    す。

     さて話は少し戻ります。年を取るに連れて記憶力が衰えます。そこで対策とし
    て、出来るだけメモをするような習慣を身につけました。しかし、メモを取るのは
    いいが、しばしばそのメモ帳をどこかに忘れるということがあります。これは困
    る。でも、偶然再発見した時の喜びもまたいいものです。そして今の今、メモ帳
    の裏の部分を、またメモ帳として使ってエコしようとして、去年の今頃のメモを見
    つけたところです。

     去年の今頃、どのような事件があったか、みなさんは覚えていますか。意外と
    覚えていないのではないかと推測します。単なるぼくの思い込みではないでしょ
    う。というのは一年前のことを記事にし続けているマスコミをあまり見かけない
    からです。記憶力の低下は老人だけのものではないようです。現代社会もまた
    記憶力の低下があるようです。社会が、忘れてはならないことを忘れていること
    がよくありますから。

     一年前の今頃、イスラエル軍のガザに侵攻し、世界がイスラエルの非難を繰
    り返していました。メモにはそう書いてあります。日本人には、パレスティナ問題
    は遠いところで起こっているという意識がありますから、とっくに忘れているので
    はないでしょうか。ぼくとしては忘れてはならないと思っています。

     それならマードフはどうでしょう。これも丁度一年前に起こった事件でした。こ
    れは日本人にもおおいに関わりのある問題です。どうですか。この名前も覚え
    ていない人がけっこういるのではないですか。正直にいうとぼくも忘れていまし
    た。それは年ですから仕方ないでしょう。でも、社会が忘れてしまってはいけま
    せん。ぼくは、メモを偶然見つけて思い出しました。一年経ったことで、かえって
    よく理解できるようになったような感じがします。そしてますます思うのです。こ
    れは忘れてしまってはいけないと。

     しかし、ぼくとは逆に、早く忘れて欲しいと思う人がいます。というのは、資本
    主義の根幹に触れる事件だからです。

     マードフは巨額詐欺事件という名前を付けられて整理されています。もう裁判
    も終わって(なにしろ早い裁判だった)、150年の禁固(アメリカの裁判官は、1
    50年の禁固などという判決を下すときどんな顔をしているのでしょう)という判
    決が下っています。そして株式市場は、こんな事件がなかったかのごとく、当時
    の株価をとりもどしています。

     でもこれは、巨額詐欺事件、ねずみ講の特別巨大なもの、とは本質的に違う
    ものです。メモを見直すと、詐欺に引っかかった被害者は、れっきとした金融機
    関がほとんどです。スコットランド・ロイヤルバンクが500億円以上、スペインサ
    ンタンデル銀行が2700億円、BNPパリバが430億円、英国HSBCが1350
    億円。野村証券も被害者に顔を出します。ぼくのメモでは275億円。幸いに
    も、日本の民営化した郵貯銀行の名前がありませんが、もうちょっと民営化が
    早ければ、きっと被害者のリストに名前を連ねていたでしょう。こんなところに、
    巨大銀行が多額のお金を預けていたのです。かれを単なるねずみ講の詐欺犯
    だと思いますか。かれは当時としては、ごく普通のビジネスをしていたのです。
    大きなネズミではありません。かれがネズミなら、今の金融システムは、ネズミ
    だらけということになります。

     かれはナスダックの元会長ですよ。これが詐欺というのなら、アメリカの社会
    は、なぜそれを正式なビジネスとして、長年の間認めて来たかです。ニューヨー
    クタイムズは、かれのビジネスの提灯持ちのような記事を載せたといわれてい
    ます。まさかニューヨークタイムズが意図的にねずみ講詐欺に加担していたと
    いうことはないでしょう。そう信じます。すると結論は、結果は詐欺事件となった
    が、それはあくまでも結果であって、そうなる前はれっきとしたビジネスだったと
    いうことです。上に並べたれっきとした金融機関は、マードフにもうけさせてもら
    っていたというわけです。資本主義の落とし子などではありません。金融資本
    主義そのものだったのです。実体経済とは全く関係なく、大銀行同士がもたれ
    合い、お金をぐるぐる回して、株価をつり上げ、そこからもうけを得ていた。そし
    て結局は、年金とか、老後の資金として蓄えていたお金が、ババを引かされる
    結果になった、ということです。

     銀行の本当の仕事は投資です。真面目な起業家を発掘して投資し、企業の
    成功から利益を上げる。これが投資です。集めた金を丸投げして、ファンドとや
    らにばくちをさせる。これが投機です。ルーレットと変わりがありません。全ての
    金融機関が、このような投機に走っているのが、現代の資本主義です。資本主
    義はこんなにも変質していた。無理な株価のつり上げはバブルです。いつかは
    かならずはじけます。はじけた時に、贖罪の羊ならぬ、ねずみにされたのがマ
    ードフだった。今、メモを見つめながら、そう考えています。この事件は資本主
    義が反省するまで忘れてはいけない。そうではありませんか。

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27 【8950】打てば響く(2月13日) 転載
北極星   運営スタッフ 2010-2-17 20:39:44  [返信] [編集]

    2月13日 感想 へそ曲がりな見方

    悪役の存在感

    あまり詳しくは書きません。
    いずれ、「婦人之友」か「ちくま」か「日教組新聞」でとりあげて書くつもりですから。

     朝青龍引退。

     相撲協会は、きっと後悔するでしょう。朝青龍は悪役でしたが、強烈な個性が
    ないと演じられないのが悪役です。こんな才能を持った相撲取りは、何十年に
    一人現れるかどうかでしょう。そして悪役がいない芝居はつまらない。相撲協会
    にとって、朝青龍は得難い宝物だった。そのことに気がついていない。気がつ
    いた時に後悔しても遅い。朝青龍のいない場所はつまらなくなる。そしてファン
    も遠ざかる。

     この引退を仕掛けたのは、横綱審議会ですが、審議会は偽善者の集まりの
    ように見えます。横綱の品位などというけれど、本当に横綱らしい横綱だった双
    葉山も、完璧ではなかった。戦後自分が信仰した爾光尊を警察から守ろうとし
    て、暴力をふるった過去があります。それから復帰して、大相撲の理事長にな
    った。大鵬だって、新宿のバーだったかで、芥川比呂志(比呂志の方が挑発し
    たらしいが)と、あわやけんかというところまでいった話を聞いたことがありま
    す。

     それに、ともかく強くなければ、なれないのが横綱。品位だけで横綱になれる
    ものではありません。

     審議会の面々で、品位の感じられる人がどれだけいるかです。ぼくには偽善
    者の集まりに見えます。

     それに相撲協会の理事選。あれは談合そのもの。自由選挙ではありませ
    ん。あれほど品のない選挙はありません。談合そのものです。談合こそ日本の
    国技ということなのでしょうか。

     政治の世界でも、倫理とか、道義的責任とかを、野党もジャーナリストも問題
    にしますが、振り返って、その人たちは道義的に、倫理的に一点のやましさも
    なくいえるのでしょうか。イエスが売春婦に石を投げている人たちに問うた言葉
    を思い出すがいいのです。

     この言葉は、本人が「自分は法的に罪を問われないが、道義的な責任は痛
    感している」という。そういう場合に据わりのいい。自民公明の連中の口から出
    ると、言葉が居心地の悪さを感じるでしょう。台詞は、口を選ぶのです。他人の
    台詞か自分の台詞か、考えて物をいわねばいけません。

     話は飛びます。小沢の不起訴を、ぼくはテレビの報道の前日、アメリカのキャ
    ンベル国務次官補が、小沢と会談したというニュースを見て予知しました。「起
    訴はないな」と。翌日起訴される人に、アメリカの国務次官補が大使を連れて
    会うことはない。ニュースに注意していると、かなり予知できる部分があります。
    ということは沖縄基地の問題も、希望が見えてくるということです。かれも政界
    では朝青龍のような悪役です。かれなら、アメリカと沖縄基地問題で駆け引き
    できるでしょう。岡田も北沢もまったくダメ。官房長官もおかしくなった。国務次
    官補も、結局は相手は小沢だな、と判断したのでしょう。

     清濁合わせのんで、日本の未来を考えて、誰が必要かを見る。有権者はそ
    こまで賢くならねばいけません。

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28 【9453】打てば響く 2010年4月5日分 転載
珠   運営スタッフ 2010-4-7 13:23:53  [返信] [編集]

    4月5日 最近の感想です

    「老人党は忘れていない」

     去年の九月に、総選挙で大勝して、民主党政権が発足してから、半年が過ぎました。

     まだ半年か!と感じる人もいるし、もう半年も!と感じる人もいるでしょう。

     この内閣は、公約だった「子ども手当て」や「高校授業料無料化」は、早々と実行しましたが、老人に対して約束した、「後期高齢者医療保険の廃止」の方は、何時になるか分からない状態です。次の総選挙まで、今の中途半端な《待ち》の状態が、ずっと続いてしまう可能性が高いですね。

     でも民主党よ。老人は忘れっぽいからと思っていると間違いですよ。確かに、個人個人としての老人は忘れっぽい。しかし、老人党のようなグループになると、忘れっぽくなくなるのです。一人が忘れても、他の誰かが必ず思い出させてくれます。

     老人は忘れていないですよ。次の選挙が怖いですよ、と脅しをかけたいところですが、二大政党時代になると予測していたのに、自民党が崩壊してしまったのが誤算、闘わぬ前に、自分でこけてしまうのは、自分でも格好悪いと思わないのですかね。しかも、公明党が自民党を見限って民主に擦り寄ってきています。接戦のときに、発言力が強まる老人党としては、この状況は想定外です。

     「連立している社民党よ、後期高齢者問題を取り上げろ。老人の票を拾うチャンスだぞ」とでもいっておきましょう。ともかく老人党がこの問題を忘れていないことは強調しておきましょう。



    「茜色の雲」



     最近、辻井喬の「茜色の雲」という小説を読みました。小説と銘打っているが、ほぼ大平正芳の忠実な伝記といってよいでしょう。外相のときに佐藤内閣による沖縄返還時の置き土産的密約を知って悩むところがあります。岡田外相に密約問題のヒントを与えたのは、この著者ではないかという気がします。戦後日本の前半の政治史の小説化といってもいいでしょう。

     小説として読めてしまうので、読み出したら、途中でやめられない。ほとんどの関係者が実名で登場します。数人だけが、本名でない。だからこそ、こいつはだれだ、このいやな野郎は!と詮索したくなりますが、それも読者を巻き込むための著者の術かもしれません。

     六〇年安保の時代を政権の側の視線で見せてくれます。そしてあの時代の自分の記憶も、けっこう希薄になってきていることを思い知らされました。鮮明に覚えていたつもりだったことが、思い違いだったりして。

     元青嵐会のメンバーが、定年で追い出される時代なんですねえ。

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29 【9615】打てば響く 2010年4月11日分転載
珠   運営スタッフ 2010-4-18 0:33:24  [返信] [編集]

    【打てば響く】「立ち上がれ日本(ニッポン)」の感想です なだいなだ 2010-4-11

    日本はなく、あるのは日本主義というイデオロギー

    与謝野、平沼の新党に名前をつけたら、といわれて「じじい民党」と答えましたが、石原慎太郎のネーミングといわれていますが「立ち上がれ日本」になったそうです。
    老人たちの集まりだから、老人が応援しませんかといわれましたが、老人党は記憶がいい。

    与謝野は麻生内閣の金融財政担当の責任者で「二万円ばら撒き」をやった当事者であり、後期高齢者保険制度を作った自民党の有力議員だった、ことを忘れていない。政治家の未来に向けた美辞麗句に迷わされず、70にもなる人間は「やってきたこれまでの行動で判断する」。
    だまされるほどの馬鹿ではない。と答えました。

    尋ねてきた新聞記者には、麻生内閣で与謝野が何大臣だったか忘れたの、老人より記憶力が悪いね、アルツハイマーかね、と皮肉をいってやりましたが、もちろんこれは新聞にのりません。
    ぼくの推測では、この新党は、小泉純一郎を担いだ「文春、読売系」のジャーナリズムのサポートを受けての新党でしょう。「日本」とは何でしょう。一つにまとめようというイデオロギーです。

    しかも自分たちだけが正しい、選挙で勝った民主党に任せていたら亡国だ、その裏側には連立を組んだ少数の社会主義者に引きずられているから亡国だ、という選挙無視の考えが見えます。
    民主党が勝ったのは、自民党こそが自分たちの生活をズタズタにしてきた、という選挙民の怒りであり、国民総中流の国から一千万の貧困層に落とされた人たちの意識だったことを、見ようとしない人たちです。

    日本を敗戦に導いた職業軍人たちに、平和条約締結と同時に恩給を復活した自民党の右派、国のために命を捧げる、会社のために絶対服従で命をささげる、反対するものは国賊だとか、非日本人だとか、のレッテルを貼る。排除主義の全体主義、その時代の日本はまとまりがあったと郷愁を感じている人々でしょう。

    あるのは現実の日本でなく、個々を全体のために奉仕させるカタカナのニッポン主義のみです。
    日本はたくさんの人たちの集りです。それを右と左の大きな流れを交代させて、ヨットのように向かい風にもかかわらず帆を滑らせ前進する現実の日本という民主主義の国です。
    「ニッポンチャチャチャ、金メダル」の浮かれたテレビジャーナリズムの日本ではありません。

    文春は出版不況の今、まだ日本で売れる、という計算があるのでしょう。読売もそうでしょう。
    テレビもオリンピックでまだ稼げるなら、日本で稼げるかもしれないと思っているのかもしれません。
    俺と一緒に立て、といっても自民党の若手さえついてこない連中に、立ち上がらせる日本というものがあるでしょうか。

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30 【9919】 打てば響く(5月6日) 転載
北極星   運営スタッフ 2010-5-7 18:47:14  [返信] [編集]

    5月6日 抑止力なんていってちゃだめ。

    鳩山君、君は「沖縄の皆さんにお願いしたい、日本全体のために、米軍の海兵隊基地は、抑止力として必要だ、だから県外移設は実現できない」という。お願いする方向が、間違っているのではないかね。抑止力という観点からすると、海兵隊を沖縄から移すことはできないという考えになってきたというが、戦後六〇年の間、どんな戦争を抑止してきたの?

    アメリカは、だれに頼まれて、どこでだれと戦ってきたの? ベトナム、イラク、アフガニスタン、みな日本を守るためだったの?
    出撃するとき、日本の許可を得たの?お願いだから、間違いに早く気がついて!
    あなたは日本の首相なのだから、沖縄県民のために、オバマにいうべきなの。

    「オバマさん、お願いだから、米軍基地をどこか別のところに移してください。
    沖縄の人があれほど嫌がっています。移そうとした徳之島の人たちも、嫌だ、といっています。
    わたしは、八方ふさがりです。今、日本のどこに喜んで海兵隊を迎え入れるところがあるでしょう。

    なだ いなだ という変なじいさんが《大赤字の関空に海兵隊をそっくり移したら》といいますが、その関空への移転という迷案だって、ジョークがジョークでなくなったら、大阪でも大きな反対運動が起きるでしょう。
    この現実に目を向けてください。来てくれといっているテニアン移設を考えてください」と。

    そして、かれの前で日本式土下座をしておねがいしてごらんなさい。
    「まあまあ、それだけはやめて」とオバマも閉口するでしょう。そして引っ張りあげてくれるでしょう。
    それを国辱などという人はいませんよ。世界のジャーナリストは喜びます。

    そしてあなたは、このパフォーマンスの後、日本国首相を辞職すればいいのです。そうすれば政治生命はうしなわれることはありません。勇気のいることです。肝っ玉のいることです。そのあと、あなたは、選挙民から「帰ってきて」と声がかかります。
    その時は、国内問題のどんな難問だって片付けることが出来るでしょう。

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31 【16357】打てば響く 2011年12月20日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2011-12-24 19:03:06  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』 2011年12月20日分の転載です。

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    12月20日

     フランスからです。

     個人的問題。病気の治療の方は順調のようです。マーカーの価は低くなりました。飲んでいる薬、女性ホルモンですが、副作用は全くありません。おっぱいも大きくならなければ、肌もすべすべにならない。食欲も衰えない。副作用を欲張ってみても、あまり意味がないか。
     ともかく、現在のところ、至極元気であり、ご心配には及びません。

     フランスまでの旅は、少し贅沢して、プレミアムというツーリストと、ビジネスのクラスの中間のクラスを利用しましたが、八十歳を越してからは、この席でも、かなり苦痛になってきました。ま、何とか14時間の飛行を乗り切りましたが、正直、余裕はあまり残っていませんでした。あと何回、このような旅ができるかな、という消極的な考えが、頭に浮かびました。

     パリに着いて数日して、金正日の死を知りました。テレビに映し出される、号泣する何人もの北朝鮮の人の姿は、ちょっと異常という印象を受けましたが、日本でも明治天皇が死んだときに、宮城前にいって号泣する人がたくさんいたし、乃木大将夫妻のように殉死などする人もいたのです。北朝鮮を考えるとき、社会的に、100年くらい遅れているという状況を想像するか、日本も百年前はそうだったと思い出すか、ともかく頭を切り替える必要があります。
     後継者が三男に決まったようですが、若くて頼りなげな印象をテレビから受けましたが、これからの難しい状況を、背負っていけるのでしょうか、ちょっと疑問に感じます。

     さて、日本ですが、わがドジョウ首相は、ほとんど自民党と変わりないことが分かってきました。人気急落も当然でしょう。
     問題は橋下新大阪市長です。侮れない人気ですが、年金の考え方などを知ると、この人には、「相互扶助」の考え方が、完全に欠けていると思います。年金は積み立て貯金ではない。高給をもらっている人は、貯金をする余裕もあるはず、支給の上限を設けるべきです。そうでなければ、行き詰まるでしょう。年金で世界一周の船旅などする必要はなく、老後のために貯めてきた貯金で旅行に行けばいいのです。
     相互扶助の考えがなければ、この国の住民としての一体感など生まれようがありません。大震災ばかりでなく、日常のあらゆる場面で、助け合いの精神が見られねばなりません。
     いかに橋下氏に人気が集まろうと、今のままでは、どちらかといえば金持ちクラスの間の人気にとどまるような気がします。かれはもう少し政治哲学を語る必要があります。

     話は変わります。80以上のぼくは、よく戦後の焼け野原と、東北の津波の後の、光景との相似を問われますが、よく似ています。ただ、決定的に違うことは、焼け跡に、勝手にバラックを建てて住む人がいたのに対し、津波の後にまだ、闇市も立たないことです。この違いが戦後の復興のエネルギーと、大震災後のエネルギーの違いのように思えます。闇市を仕切っていたのは、アウトローの雰囲気でした。みな、親分たちでした。戦後の闇市のドキュメントをやらないかな。
     実際、土地の親分が多かった。しかし、この人たちは戦後の社会に次第に組み込まれ、親分たちは都会議員になったり、なかには都会議長になった人もいました。ぼくたちは闇市焼け跡派などと呼ばれることがありましたが、闇市のエネルギーに郷愁を覚える人間です。
     今は闇のエネルギーはどこかに行き見えません。税金待ちばかりです。これでは当然エネルギー不足になるでしょう。

     そんなことを考えています。

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32 【16392】打てば響く 2011年12月31日分転載
ビートル   運営スタッフ 2011-12-31 10:43:05  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』12月31日の転載です。


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    12月31日 感想です。


     遠く離れてヨーロッパに来てみると、見えないものが見えてくることがあります。
     今日、新聞では1ユーロが100円だと騒いでいました。ぼくが固定相場に戻すべき好機とかつて書いたことがある瞬間です。
     日本では、円安の方が「輸出しやすい、国際競争の点で有利になる」という議論が主流になりますが、こちらでは、輸入品の価額が高くなって、インフレになるという心配の議論が主流です。日本は輸出産業の目でもの見ていて、こちらでは消費者の目でものを見ているということでしょうか。
     ユーロ安で、国際競争力が高まり、輸出しやすくなるのだから、経済に活気が出てくるのではないか、失業が減るのではないか、と言ってみたら、生産拠点を国外に移しているので、ユーロ安になって、フランスブランドの、輸出が増えても、フランスの失業は減らないということです。これではユーロ安を歓迎する人が少なくても当然です。しかし、これが、日本の明日の姿かもしれません。
     フランスの失業者は増え続けています。大統領選ではそこが問題になること必至の状況です。そろそろジャック・ジェネルーという人の本が売れてくるのではないかと思います。この人は、大学の経済学の教授ですが、ぼくなどにも、現代の経済の抱える矛盾を分かりやすく教え、われわれにもできそうな対策を、研究模索している人です。この人の本が読まれるというのは、ぼくにはよい傾向に思われます。

     今年の世界は、どうやら混乱のままに暮れていきそうです。
     闇市焼け跡派は、今こそ元気を出させるべく、行動していきましょう。

     パリから
     なだいなだです

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33 【16602】打てば響く 2012年1月29日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-1-29 16:24:29  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン「打てば響く」2012年1月29日分の転載です。
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−

    1月29日

     感想です(近況はブログの方に書きます)。

     フランスから風邪をお土産に背負って帰ってきました。
     そして、テレビで国会の討論を見ると、日本の政治は相変わらずだな、とため息を漏らしたくなりました。そこに石原、亀井新党なんて変なものが出来そうなことが、新聞に書いてある。これには「冗談でしょ」と思わず出ました。コメントを求められたら、その時も「冗談でしょう」と一言いいます。一言だけ。それくらいにしか値しません。
     前に、出発の時点で1ユーロが100円だったのだから、ユーロが100円になった頃を見計らって、円を対ユーロ固定相場にすればいい、といったことがありました。計算もしやすくなる。為替相場を気にせず、安心して取引もできる。輸出産業もユーロ建てで輸出入すれば、為替変動で、損することも心配せず、安心して商売できる。ユーロも日本のおかげで安定する。
     アメリカも基軸通貨ドルの上に胡坐をかいて、世界をインフレの道連れに出来ない。
     オバマ政権は2パーセントのインフレ覚悟の経済政策をとろうとしている。あまりにも、自己中心的だ。だからこそ固定相場制にという提案。
     アメリカの反撥は怖いけれど、怖がっていたら、恐怖政治に賛成ということになってしまう。日本の政治家は、アメリカと対等に発言できるようにならなければ、一人前とはいえない。安保理常任理事国なんて、金で票を拾わなければ、選出されません。沖縄問題もいつまでたっても、解決できない。
     あまりにも急に1ユーロ100円が来てしまったけれど、もう一度、固定相場に戻ったら、そうEUにも提案したい。これは、自分でいってしまうのは、興醒めだけど、あえていいます。この案、現代国際政治のコロンブスの卵かもしれない。

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34 【16751】打てば響く 2012年2月20日分転載
ビートル   運営スタッフ 2012-2-20 19:22:10  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン「打てば響く」2012年2月20日分を転載します。


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    2月20日

     感想です。
     最近の日本における出来事を見ながら、82歳の老人として、感想を書きます。
     橋下大阪市長と維新の会の勢いが止まりません。かれは確かに大衆受けする存在です。かれなら、なにかやってくれるのではないか、と現在の霞が関の政治家に絶望感を抱く人たちは、大阪に目を向けたくなります。「大阪都を」という主張は、大阪府より、大阪市の方が存在感がある現状では、一体化によって行政の簡素化になるのは確実だから、きっと税金が安くなるだろうという期待を抱かせます。しかし、そこまではいいとして、勢いに乗って、国政にまで、乗り出してきたときの、かれが(若いので必ず自分から出なくても、担ぎ出されて登場する場面があるかもしれない)どのような国あるいは社会のあり方を目指すのか、不安を抱く人もいるでしょう。
     こういう時、老人は思い出します。これが老人の強みです。いたずらに恐怖心も抱かなければ、期待も抱かない。つまり比較的冷静に見られるのです。
     もちろん危険も目に入ります。たとえば橋下市長のもとに集まる人たちの会の名前です。「維新の会」だそうです。この維新という言葉、明治維新が有名ですが、ぼくの耳には、同時に昭和維新という言葉も反響します。昭和維新は昭和の軍部若手の将校たちが、社会を改革しようと志した時に、自分たちの行動目的として掲げた言葉です。左翼の革命をあえて避けて用いた言葉です。そして、かれらは挫折し、挫折させた人々が、この言葉の魔力を引き継いで、日本を戦争に引っ張っていきました。その時のことを生々しく記憶するのが老人党世代です。
     ぼくは軍隊の学校に行きましたが、この言葉を何度聞かされたことか。それによって生まれたイメージがあり、それに対するこころの中の反発があります。自分では、自分の運動をそう名付けようなどという発想は、持てません。こころの中に抵抗感があってつぶされてしまいます。到底使う気になりません。
     使っている人たちが、あの時代について無知であることも危惧します。知らなければ、警戒心もわかないでしょう。かれらが力を得た後に、登場してくる勢力を、どうしても危惧してしまいます。

     今日はここまでとします。
     そのほか、戦後に急速に勢力を伸ばした政治勢力についての思い出話というか、歴史的回顧は、(フランスのプジャーディスト運動や、ル・ペンの国民戦線運動などの、公明党も含め)連載などの一仕事を終えた後に書きます。それまで少し待ってください。
     ぼくの体調は、心配ありません。心配してくれる人に、心配して損したといわれるほど、少なくとも見た目には元気いっぱいです。

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35 【17034】打てば響く 2012年3月22日分転載
ビートル   運営スタッフ 2012-3-22 22:45:18  [返信] [編集]

     打てば響く(『なだいなだのサロン』コラム)3月22日の記事の転載です。


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    3月22日 感想

     婦人之友の次号の原稿を送った。
     日本の代表的な銀行の勧めで、アメリカの生命保険を買い、利子は日本の銀行利子の数倍付いたが、この円高ドル安で、結果的に大損をした。普通預金に入れっぱなしの貯金に目をつけられ、資産運用しろと勧められ、しつこい勧誘についにイエスといってしまった結果が、数百万円の損。最近の一年の収入に当たる額だ。もう資産運用等という言葉は聞きたくない。
     この経験から、投資顧問会社に年金運用を任せるよりは、日本の未来を買え。日本のインフラに投資しろ。年金は、お金を長い間積立て、寝かせて、未来で受け取るものだ。自分の老後を任せる日本に投資し、より住みやすくする目的に使ってもらうのが利口だ。自分の老後を任せる若い世代の職を確保することもできれば、一石二鳥。
     赤字国債ではなく、新幹線やローカル線などの建設のための国債を買えばいい。新幹線など、札幌まで、早く開通させるがいい。山陰、北陸の新幹線も、どんどん建設をすすめる。税金から出すのではなく、年金基金から出せばいいのだ。アメリカの生命保険や国債などのいわゆる金融商品を売り買いして、利益を出そう等という連中にお金を預けるな。という趣旨のエッセイ。

     ちくまの連載の原稿は、現在進行中のフランス大統領選挙のジャン・リュック・メランション候補について書いた。
     年末・正月をフランスで過ごしたが、その時「ジャン・リュック・メランション候補に聞く」というフランス2局の番組を視聴して、初めてかれの映像に接する。その前に、かれの著書は少し読んでいた。そのとき、過去の、群衆を前にしての演説や、政治討論などの映像の抜粋も紹介された。視聴して、昔からぼくが抱いていた政治家像ぴったりの人間を彼の中に見た。ユーモアのある政治家、難しい政治経済の状況をやさしく説明できる政治家。そういう状況で、ぼくたちに、今何をなすべきかを示せる政治家。しかし、かれは共産党に支持されているという理由で、フランスのマスコミからボイコットされ、かれの主張は、ほとんどメディアを通じては国民に届かなかった。だが、おもしろおかしい、肩のこらない、元気の出る演説で、少しずつ支持を広げ、今では無視できない存在になってきた。この番組を見た視聴者が、かれに魅了され、支持率が倍増したという。
     正月以来、ぼくはかれの記事をおい続けている。つい最近は、大統領選挙開始に合わせ、バスチーユ広場へ、という決起集会を開いた。その日集まったのは12万人。メーデーでも集まらないような人が集まった。
     4月の22日の投票日まで、あとひと月ある。その間に、かれが上位三人との差をどこまで縮めることができるか。リレーでも、下から上がってきて、上位を一人二人と抜き去るシーンを見ると、誰でも興奮する。今度のフランス大統領選挙では、そういう興奮を感じることが出来るかもしれない。抜いてくれれば、ストレスは最大限発散できるだろう。ギリギリまで迫ってくれても、かなりの発散が可能だ。旧ソビエトの崩壊後、うっとおしい空気の中でずっと生き続けてきた労働者たちも、久々に、応援できる対象が見つかった。
     日本にも、こんなタイプの政治家が、左派から出てきて欲しい。自民、民主に飽きた日本の大衆が、日本のル・ペンのような橋下大阪市長に騙されるのを防ぐためにも。

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36 【17213】打てば響く 2012年4月10日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-4-11 20:01:35  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン「打てば響く」、2012年4月10日の記事の転載です。


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    4月10日 ぼくは怒っている。

     消費者物価が下がっているだと!たわごとだ。こんなヴァーチャルな数字に騙されるな!コメとコンピュータと自動車を足して割って、物価の平均だと。
     消費者物価がデフレで下がった分、公務員給与を下げ、それに比例して年金を下げるということだ。驚いたことに、年金(ぼくはもらっていない)受給者の老人たちから、強力な反対意見が現れない。みな、諦めムードなのだろうか。これではますますデフレになるばかりだ。消費者物価が下がっているなどと、いっている政治家官僚は、どこに目をつけているのだろう。スーパーに買い物に行ってみろ。
     はっきりしているのは、かれらが現実には目を向けていないことだ。自動車だとかコンピュータだとか、数年に一度(ぼくなど自動車は10数年に一度だ)の買う物と、コメだとか野菜だとか毎日買うものを混ぜて出したヴァーチャルな平均の数値だけを見ていっているのだろう。庶民の感覚、毎日生きるために買い物をしているものの感覚では、ガソリンが値上がりし、野菜も値上がりし、肉も魚も値上がりし、値上がりの瞬間風速は、もう大変なインフレといっていい。
     このあいだ、ゆとり教育で、数学の基礎ができていない大学生が増えたと、数学者が記者会見を開いて、警告していた。その問題の一つが平均の問題だった。「あるグループの平均値は、グループの大多数の値に一致する。正しいか、間違いか」正解は間違いだが、最近の大学生は正しいと答えるそうだ。この数学者たちは、コントロールをとったのだろうか。それとも大学生にだけ質問して、ゆとり教育の結果学力が低下したと結論したのだろうか。ぼくは、この数学者の学力がかなり低下していることを憂えた。コントロールの値と比べないで結論を出すなんて研究者として論外だ。実は、この問題には、多くの人が引っかかるのだ。大金持ちが仲間にくわわると、そのグループの平均所得は実感より上の方にずれる。それなのに、大多数がその所得だと思い違いしているものが多い。政治家官僚に特に多いのだ。日銀総裁に同じ質問をしたらどうだろう。間違いに気が付けば、年間1%のインフレ等という努力目標を、持ち出すはずがない。日銀が円の守護者でなくなるのなら、総裁の給料を返上しなさい。喜んでいるのは大企業のための政治家、自称どじょう総理大臣くらいだ。庶民はインフレに大反対だ。インフレ率1%。定期預金の利率を据え置くなら、庶民の貯金は確実に1%目減りする勘定だ。だれが賛成する。
     アダムスミスは、経済の目的は、国民の大多数を富ませることであって、平均値で富ませることではない。国民の大多数を富ませることであって、国を富ませることではない。国を強くすることでもない、と考えていた。倫理感の強いどころか、倫理学の教授であったアダムスミスを読み直してみるがいい。「一将功なりて万骨枯る」ではいけない、国が富んで、国民の大多数が疲弊するのはいけない。アメリカの住民は宗主国の王様を富ませるためにあるのではない。独立しなさいと、自身は英国民であったかれが、アメリカに独立を勧めたのだ。国民飢えて、ロケット上がるの北朝鮮のことを、インフレを目標とすると口走る今の日本の指導者が批判できるか。
     あまり腹が立ったので、すこしまとまりがなくなった。でも、もう少し、みなも怒った方がいい。

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37 【17512】打てば響く 2012年6月6日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-6-7 20:48:01  [返信] [編集]

     なだいなだのサロンのコラム『打てば響く』2012年6月6日分の転載です。

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    6月6日 オランド新フランス大統領就任の感想

     フランスの大統領選挙は、オランドの当選で終わった。
     オランドってだれ?フランスの社会党には、ユダヤ系のフランス人が多い。DSKことドミニク・ストロス・カーンがそうだ。元蔵相、IMF前専務理事で、有力大統領候補と目されていたが、セックススキャンダルで辞職した。それが間接的にオランド大統領に繋がった。DSKがコケたから、オランドが急浮上したのだ。外務大臣に就任したファビウス元首相もユダヤ系。保守のサルコジ前大統領もそうだった。サルコジと同じ党で、現幹事長のフランソワ・コぺもユダヤ系。ルーマニアからの移民でもある。サルコジはハンガリーからの移民である。今回は、ユダヤ系とユダヤ系の候補者の決選投票ということになったわけだ。新しい移民のユダヤ系と、フランスに何世代も前から住み着いているユダヤ系との戦いだ。DSKが候補だったとしても、ユダヤ系同士の対決ということになっていた。次の大統領選挙で自分の出番を狙っているコぺが、オランドに挑戦すれば、またユダヤ系対決になる。
     政治家以外にもフランスにはユダヤ人が多い。哲学者にも作家にも、ユダヤ人は多い。ベルナール・アンリ・レヴィーもそうだし、レヴィー・ストロースもそうだ。レヴィー・ストロースとベルナール・アンリ・レヴィーを並べたくないが。こうして、だれがユダヤ人というかユダヤ系というか、名を挙げているうちに、ユダヤ人があまりに多くて、ユダヤ人ということは、人ということに変わらないことに気がついた。
     人にいろいろあるように、ユダヤ人にもいろいろあるのだ。ともかく、今回のフランス大統領選挙はユダヤ人とユダヤ人との争いだっということになる。だが、この二人には仲間意識はないらしい。当選してからの引き継ぎも、実にそっけなかった。
     オランドという名前は、パリに亡命していたハインリッヒハイネ(かれもユダヤ人だ)の書いたものの中に出てくる。当時の銀行家で、資産家で、同時にアナーキストのサポーターだったということだ。ま、パリではマルクスがその後活躍するようになる時代だ。ぼくはオランドはこの銀行家の直接の子孫かと思ったが、遠い祖先にそういう人がいた、という程度の関係はあるかもしれない。はっきりしているのは、直接のかれの父親は耳鼻咽喉科の医者で、母親はソーシャルワーカーだということだ。
     かれは、どこか頼りない感じで、それゆえ、第一書記のポスト在任期間はミッテラン元大統領を抜いて、結党以来最長だったが、かれはその間、大統領候補としては二番手どころか、三番手、四番手だった。前回はかれの事実婚のパートナーでかれとの間に4人の子供のいるセゴレーヌ・ロワイヤルが大統領候補に推された。ロワイヤルがサルコジとの決選投票で落選したあと、二人は事実婚関係を解消した。オランドはセゴレーヌ・ロワイヤルを積極的に支援しな
    かったが、今回、別れたあとだったが、セゴレーヌ・ロワイヤルは、積極的にかれを支援して、キャンペーン活動をした。しかし、早々に閣僚には入らないと表明した。

     オランドは、当選したあと、直ぐに大統領の給与と、大臣の給与を30%カットし、閣僚の半数は女性から選ぶという原則を決め、それを貫いた。給与カットするのは、予算もいらないから簡単にすぐに出来る。閣僚の半数を女性にするというのも、予算措置は不要だから、簡単にできる。党内のアンティ・フェミニストを黙らせるだけでいい。女性から要求されぬうちにやったのは、二重丸を上げてもいいだろう。
     かれが、財政締め付けよりも、経済成長を主張し、大統領就任直後のメルケルドイツ首相との会談でも妥協しなかったために、ユーロは売られ、記録的下値をつけたが、決して慌てなかったことには、丸をあげてもいい。いわゆる投機マネーの脅しに屈しない姿勢を見せたことで、しばらくは投機マネーも派手な動きは出来まい。そして投機マネーが短期に移動しないように、税をかけることに成功すれば、三重丸ぐらいやってもいいだろう。しかしこれは、そう簡単にはできまい。まず、下院議員選挙で勝つことが必要だ。その投票がまもなくある。
     フランス議会選挙の結果がどうなるか、大統領選挙以上に重要かもしれない。
     ま、日本の政治家と、比べてみるのもいいだろう。ぼくは決してオランドに期待はしていない。オランドを勝たせた、格差と失業を増大させてきたヨーロッパの状況こそが、圧力となって、かれを動かす力だからだ。主役はかれを選んだ国民だ。

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38 【17596】打てば響く 2012年6月29日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-6-30 14:23:52  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン、コラム『打てば響く』2012年6月29日の記事を転載します。

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    6月29日 松下政経塾の思想

     今度の、消費増税法をどう評価するか。衆院可決後の、各界の反応なるものを見れば直ぐに分かる。消費者はため息をついている。野田は、消費者のためには働かなかった。単純にテレビに出てくる顔を見ていれば、野田ドジョウの仕事が、だれのためか分かる。喜んだ人たち、満足した人たちは、だれだったか。財界は大満足だった。自分たちが、その分だけ課税を免れるからだ。消費者以外に困った人たちは?中小企業、ことに中小の商店や、飲食店だ。
     自民党、公明党はなぜ、野田に協力したのか。自分たちの働きを、喜んだ人たちに、見てもらうためだった。いい子でしょう、というわけだ。
     しかし、協力したのに、最大の功労者は野田だなどと、財界に評価されたら困る。それで、複雑な顔をしているのだ。三党協力しておいて、選挙はなんで争うというのか。
     次の選挙で、大企業の選挙に対する資金的係わりを、よく監視することだ。
     政党に寄付する余力があるなら、その分税金を払えばいい。国の財政を憂えるなら、まず税金を払え。政党はちゃんと政党への交付金をもらっているのだ。選挙はその範囲でやればいい。免税の寄付はいらない。
     公明党も、創価学会が、宗教を隠れ蓑に税金を払っていない点を突かれるのが怖いので、必死になって、消費税増税に賛成した。今、ハコモノをたくさん作っているのは創価学会だ。
     消費税を福祉と結びつけるなどというが、竹下内閣の消費税導入の口実は将来の福祉への備えだった。これまでの消費税が、目的以外に使われていたことがおかしい。
     そもそも、年金が不足したのは、運用の誤りで、ドル建て債券をたくさん買い込んで利子を儲けようとしたところにある。わずかの利子の儲け分など、ドル安でふっとんだ。その間違いを、消費税で補おうとしているだけだ。まず、その失敗の責任者を、はっきりさせることだ。
     ヨーロッパは、財政的な切り詰めだけを目指す、これまでの保守派の政策が見直されつつある。ユーロの導入は、財政の統合努力なしに、通貨の共通化を先取りしたものだ。その矛盾が今現れている。
     オランドがフランスの大統領になってから、財政赤字を増やさぬ努力をしながらも、公共投資を増やそうという方向を目指し始めた。
     日本も、真似をして、新幹線建設を進めるという、方針を明らかにしたが、それを税金から出すからいけない。今の銀行の定期預金より少し高めの新幹線建設国債を発行すればいい。そして、地方の新幹線は、郵便、宅急便に利用させればいい。東京大阪間は少々過密だが、それ以外の新幹線には余裕が十分にある。東北新幹線の貨物利用は、さほどの投資もせず、流通に大いに効果を上げられる。法律を少し変える必要はあるだろうが。
     新幹線は、国債の売れ具合によって進めればいい。ぼくは外債にはこりた。これからは日本の未来に投資する。そういう老人も多いはず。大損するより、インフレヘッジ位の安い金利でいい。老人が、若者の失業対策にも少しは役立てる。
     大まかな線だが、社会党、共産党あたりが、もう少し肉付けをして、次の選挙に国民に訴えて見たらどうか。
     大飯原発の再稼働でも、野田ドジョウは、財界のために泥にまみれて働いた。かれの決断で喜んだ顔を思い浮かべればいい。国家を第一に考え、国家なるもののために、国民に犠牲を強いる。その思想がどうやら松下政経塾出身者に共通のものらしい。

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39 【17841】打てば響く 2012年8月11・12日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-8-12 23:00:12  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン、コラム『打てば響く』2012年8月11日と12日の記事を転載します。


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    8月11日 外交というもの

     外交にしばしば加えられる非難、《弱腰》について考えよう。竹島に李韓国大統領が上陸したことに対する日本の反応は、強硬な抗議声明の形をとった。それだけでは不十分だと思ってか、韓国駐在大使を一時引き揚げるという。外交関係を中断することになる。
     だが、これでどんな結果が期待できよう。相手の謝罪を引き出すことができるか。出来るはずがない。しばらくすると、大使を戻す、何かの口実を探すことになるだろう。もっと強腰ということになると、この島を実力で奪い返すことだ。石原都知事だったらやりかねない。しかし、それは戦争の始まりだ。小さな島が戦争の火種になる。
     昔だったら、とっくに戦争が始まっていただろう。だが日本には平和憲法がある。初めから戦争の手段は取れない。すると、だから、日本は舐められている、と非難するものが出てくる。だが、舐められているという人間は、じゃあ喧嘩を売るのだろうか。国際間の喧嘩は戦争だ。戦争をしろというのか。そこまでやれとは言っていないなどと、意見を引っ込める。それよりいい手段はないのか。
     こういう時は、首相談話で、「強硬な態度を取れ、舐められるな、という人がいるが、その人には、《右の頬を打たれたら、左の頬をだしなさい》といったイエスの言葉を返すしかない。小さい島に過ぎなくとも、領土問題は、実に厄介な問題で、昔は戦争の原因になった。これが愚行だということを我々は知っている。こういう問題こそ、武力ではなくて、両国の政治家が叡智と善意を絞って平和的に解決するしかない。今こそ、強硬な姿勢より、叡智を示すことが必要だ」と相手の大統領に呼びかけたらどうだ。もちろん狙いは韓国の世論だ。韓国の強硬な世論に、少しでも変化を起こすことができたら、領土問題を棚上げにすることもできる。これは日韓のあいだに刺さった刺だ。棚上げにして永久に平和的な関係を結ぼう、という落としどころしかありえない。それが、現代の世界の常識だ。
     強硬姿勢で、国民を感情的に煽るのは、いわゆるポピュリストの政治家だ。叡智のない政治では、出口が見つけられない。


    8月12日 消費税増税の法案成立に際しての感想

     誰のための、消費税増税か。
     野田政権は、結局は、増税のための保守大連合を実現した。マスコミは野田を実行力のある政治家という評価をしているようだ。風向きに敏感な橋下大阪市長まで、急に実行力があると野田を褒めはじめた。
     だが、これから、老人には、確実に、より厳しい時代がやってくる。高額の年金をもらっている人をのぞいて、年金だけで生活している人の大部分は、収入は増えず、支出は確実に増える。生活保護以下の年金しか収入のない老人は、切り詰める余裕もない。
     マスコミの小沢叩きは激しかったがそれらの老人のことを思えば、ぼくは小沢の論理の方を支持する。

     消費税増税の根拠は、医療費が確実に増え続けるという予測である。それゆえ福祉財源確保の必要があるとの論理はおかしい。右肩上がりの成長が続かないことは明白なのに、なぜ医療費だけが右肩上がりで増え続けるのか。医療費のどの部分が本当に必要なのかを、考えるときがきているのだ。意識のなくなった人間に胃瘻を作って生かし続けることによって、莫大な医療費が費やされる。これをどう考えるかだ。
     老人の中には、自分にはもう、延命措置はしてくれるな、と思っている人が多い。ぼくの周りの老人と話しても、大部分の人間は、おれには不要だという。積極的に安楽死を考えなくても、消極的な安楽死である、過剰な延命措置の拒否は是とする人が多い。この過剰な延命措置のために、どれだけの医療費が消えているか。
     こうした未来の医療のありかたを考えれば、医療費は右肩上がりの増加を続けることはない。もう一つ、クスリの値段は適正かどうかだ。ぼくは現在、前立腺がん治療のために、日に一錠の錠剤を投与され、毎月一回の注射を受けている。三割負担の代金が月に二万数千円だ。一ヶ月一回の通院だけで、五万円ほどのがん治療費が、健康保険に請求されていることになる。薬代がいかに大きいかが分かる。消費者が、この薬価の透明性を要求することはできないか。ぼくは、医療費増大の裏で薬会社がかなりの利益を上げていると見る。圧縮する余地は大いにある。医療費が増大するから増税だ、という論理には飛躍がありすぎるのだ。
     しかし、未来を考えたら、いつまでも財政赤字を増やすわけにはいかないという論理はどうだ。老人も国民全体も、未来につけを回すなという論理に弱い。少子高齢化を叫ばれると、自分が原因のように、罪を感じてしまう。そう考えるように、マスコミで洗脳されてきた。未来につけを回さないという論理には説得力がある。だが、アフガン復興の援助を約束するなどということの方が、未来につけを回すことではないのか。
     ついこの間のアフガンの復興援助のための約束は、どうしてもしなければならない約束か。復興が必要になったのは、アフガンに天災があったためか。アフガンを戦争で破壊したのはだれだ。アメリカだ。自己責任の原理からいえば、アメリカが復興費を負担すべきだ。それなのにアメリカにいい子ぶって、世界に寄付金の奉加帳回しの役割を買って出たのは野田内閣ではないか。そのためには筆頭の寄付額を約束せねばならない。だから日本が世界で二位の額を約束せねばならなかった。その金はどこから出てくるのだ。税金だ。
     ユーロ危機対策に膨大な基金への参加を約束する。どこから金が出る。税金だ。防衛費には戦闘機、イージス艦など、税金が湯水のごとく使われている。増税の前に、これらの支出を削減することが、つまりそれらの必要のない平和をを未来のためにつくることが、未来の世代につけを回さないことになるのではないか。
     日本はまだ、リーマンショックによってどれだけの金融資産を失ったかを総括していない。年金支払いが赤字になっているのは、年金の運用の上で大きな失敗があったからだ。本来は、年金の原資は日本の未来のために投資すべきだったのだ。それを、金融商品という紙切れに等しいものを買い込み、アメリカの資金運用銀行に国民の貯金を差し出して、ドル安でまんまと数割を取られてしまった。これはぼくの実感だが、資金運用だなどと大銀行の勧めにのって、外債を買い、資産を何割も減らした経験のあるものにはわかるだろう。
     消費税増税の論理は、こう考えていけば大きな欠陥がある。マスコミの野田政権支持の論理に騙されてはいけない。実感が大切だ。これ以上の増税に、老人の生活が耐えられるか、まずそこから出発せねばならない。まず増税ありき、の考え方は間違っている。小沢の論理の方が、今回は正しい。

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40 【18049】打てば響く 2012年9月1日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-9-1 21:50:18  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年9月1日の記事を転載します。

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    9月1日 緑の党ができた

     老人党の議論が国会の方に向きすぎているあいだに、重要な政治的事件が起こりました。緑の党の結成です。
     集まったのは、政治の手垢のついていない、新鮮なメンバーたちです。ということは生まれて初めて聞く名前の人が多いということです。しかし、欧米の環境政党「緑の党」と国際的に連帯をするそうですし、橋下大阪市長のようなスタンドプレーの好きな人達ではなさそうです。
     いま、メンバーたちは、反原発で首相官邸を取り巻いているグループに加わっている。実行力もある。
     ぼくは、鎌倉で環境運動をしてきたこともあり、緑の党を支持しよう、育てていこうと思います。
     環境問題は一国で解決できるものではない。日本の原子力事故の影響は、国境の内部にとどまらない。世界の環境を地球上の緑の党の同志と考えるようになれば、国境にある小さな島の領有権を争うなんて馬鹿なことは出来なくなります。
     緑の党的には、国際的に共同の自然として考えていく手段しかない。国境を超えなければいけないのです。彼らなら、平和的にそれが可能です。
     強硬派の議論なんて、子どもの議論と思えるようになります。
     元気のいい老人党は、これに加わったらどうでしょう。

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41 【18389】打てば響く 2012年10月2日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-10-2 22:34:29  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年10月2日の記事を転載します。

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    10月2日 感想というより決意


     老人党の掲示板を見ていると、老人党が曲がり角に来ていることを感じる。仲間の一人から、「これでいいのか」と活を入れられた。ぼくも、これではいけないことを十分に知っていた。だが、怠けていた。ぼくがメルマガに毎回登場するようでなければいけないのだ。それが一番の解決法。しかし、それには時間的にも精神的にも大きな負担増が強いられる。それで躊躇っていた。だが、何をためらう。今は、日本にとっても最大の危機。ぼくの人生も残り少ない。今、頑張らなくてどうする。
     ぼくは、腹をくくった。

     常連化した一部の人たちの、老人の一番悪いところが出た、独りよがりの議論などに、老人党を代表させていてはいけない。これではマンネリもいいところだ。

     話は飛ぶが、ぼくは現在「常識哲学」についての本を執筆中だ。スコットランドで起きた「コモンセンス」を社会の本にしようと考える哲学だ。18世紀に生まれ、経済学者として後世に名を残すアダム・スミスもこの運動に属した。
     この哲学運動は、アメリカ独立とフランス革命を置き土産にして、一旦は消える。トーマス・ペイン(バラク・オバマが大統領就任演説で引用した)のベストセラー「コモンセンス」の中の、「アメリカ独立は今や常識(コモンセンス)です」の一言がなかったら、アメリカの独立があったかどうかわからない。フランス革命を弁護した、200万部のベストセラー「ヒューマンライツ(人間の基本的諸権利)」は人権を常識として定着させた。かれはアメリカ独立の直後に奴隷を解放する州憲法の起草者になっている。
     この思想が、欧米では消えていくのに反して、明治以降の日本に、常識という訳語を得て生まれ変わり、定着した。日本にもともとあった論語の「中庸」の思想とぴったりだったからだ。常識は社会の基本原理となったという具合だ。

     ぼくは、老人党は常識の党であらねばならぬと考える。しかし、同時に常識は進化することも忘れてはならない。「今の非常識」がやがて「未来の常識」となることもある。未来を先取りする非常識は大いにあっていい。それが話題を提供して議論が繰り返されることが、老人党の掲示板のあり方だ。自民党の総裁に安倍がいいか、石破がいいか、石原がいいか、などという議論は三文の価値もない。だれの演説を聞いても最低で、日本の政治家の思想的な貧困さを競っているだけではなかったか。それにのせられていては、日本のマスコミの宣伝にのせられて不毛な議論をしているだけのことになる。

     日本の防衛大臣が、アメリカの使いばしりになっているのは一目瞭然だ。日本から大臣の給料を出すのは無駄。初めから説得などできないのに、沖縄に説得に赴くのは、旅費の無駄。公費を使う価値がない。これ常識。戦後大臣を「公僕」と呼ぶことが流行った。今は「アメ僕」。アメリカの強引な政策に、無理に協力するために税金を使って右往左往しているだけ。
     これが国民の常識。しかし日本のテレビはその常識をインタービューで声として出させない。

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42 【18459】打てば響く 2012年10月10日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-10-10 19:10:27  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2012年10月10日の記事を転載します。

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    10月10日 常識で考えようの2

     安倍自民党総裁が、民主党野田総裁と、公明党山口代表の三党首会談を受け入れるかどうかの意見を聞かれ、三党合意での近いうちに解散するという、意味は、「常識」では年内を指す、という談話を発表した。
     ちょうどいいタイミングでの「常識」発言だ。安倍総裁にジャーナリストが「常識」ってなんですか。と質問してくれたら、なお良かったが、ほとんどのジャーナリストが「常識とはなんだろう」と考えたこともなかったらしく、当然そのような質問は出なかった。

     常識が、明治の初期、英語のコモンセンスの訳語として作られたことは、たいていの辞書に書かれている。しかし、この訳語の漢字のイメージが、非常に強かったので、コモンセンスの訳語は独り歩きして、日本では独特の意味を持つようになった。
     というのはぼくの考えだ。
     常識という言葉を使う時には、自分の仲間だけの常識か、もっと広い常識か、世界に広げられる常識か、を考えるようにする。これがぼくの原則だ。医者の常識、世間では非常識という場合がしばしばあった。政治家の常識は、国民にとっての非常識であることもしばしばだった。

     そういうことを踏まえたうえで、常識で考えよう。
     尖閣問題とはなんだったのだろう。日本は、尖閣諸島を実効支配していた。中国も台湾も、自国の領土だという主張をしてきたが、だからといって、日本の実効支配を実力で覆そうとはしなかった。小平は、《尖閣問題は棚上げだ》と指示していた。問題を片付けようとして失うものを考えれば、棚上げの方がずっと利益があるという、計算のできる現実主義の政治家だった。かれクラスの政治家が、中国にいなくなったのは残念だ。
     野田が、小平の言葉を知っていたかどうか。知らなかったのだろう。馬鹿な政治家を首相に仰ぐ不幸をしみじみと感じる。20何億で、国有化したために、中国に進出していた企業は、軒並み大打撃を受けた。中国も受けている。日本の地方の観光業も、軒並み大打撃を受けている。これは日本のジャーナリズムがあまり報じない。ANAが中国人予約4万席のキャンセルを受けたという報道があっただけ。北海道のホテルなど、中国からの団体客で、なんとか不況をしのいできた。この事件でキャンセルが続けば、持ちこたえられないところも出てくるだろう。じわりと効いてくるボディブローだ。
     その損失は、税収にも響く。そこで消費税値上げなどをやったら、息の根を止められる中小企業も多いだろう。国民の生活が第一の小沢が首相だったら、やっぱり石原都知事に振り回されて同じバカをやっただろうか。石原に買わせればよかった。そして、職権乱用で訴えればよかった。都が尖閣を所有することを都民に判断させればよかったのだ。かれがお騒がせマンであることは、中国にも知れ渡っている。それに困ったふりをしていればよかったのだ。
     韓国語を習い、中国語を習い、観光客を呼び込んできた、日本の地方の観光業者の常識で考えれば、今回の事件はそのように総括されるのではなかろうか。

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43 【18525】打てば響く 2012年10月20日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-10-20 11:09:20  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2012年10月20日の記事を転載します。

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    10月20日 常識で考えようの3

     自民と民主の大臣まで加わっての、靖国参拝。
     日中関係、日韓関係をこじらせるようなことを、わざわざやってくれる。それが目的なのだろう。
     しかし、日本人のなかに、誰か、かれらの行為を喜んだり、感謝したりする人がいるだろうか。
     そうだ、少しはいたんだ。遺族会と旧軍人。旧軍人は、軍人年金をもらっていたし、遺族は遺族年金をもらっていた。しかも、国民に年金制度がいきわたる前。サンフランシスコ平和条約が結ばれたとたん、軍人年金、遺族年金が復活したのだ。
     戦後生まれのほとんどの人は、議員が靖国に行ってくれてありがとうなんて思う人はいない。これが常識ではなかろうか。ぼくの感覚はまちがっているかな。
     靖国に参拝する議員の会、などというものを作って、集団で行くところに「赤信号みんなで渡れば怖くない」式の、批判を恐れる精神が見える。みんなで集団を作ってやらなければ、できないような、小心者の集まりだ。
     A級戦犯と呼ばれて東京裁判で裁かれた人たちが、靖国に入っている意味はなんだろう。祀ったのは戦後だから、ちゃんとどのような人たちがやったか分かっている。旧宮内庁系の人、旧軍隊系の厚生官僚、将軍たち。かれらは、生き残った自分たちの罪を、かれらを愛国者に仕立てて、自分の罪を消したかったのだろう。
     今の社会の常識で、例えば、会社を潰した人に感謝して年金を払うところがあるだろうか。退職金返せ、が常識だ。
     かれらは、国を守るどころか、日本という会社を潰し、何百万もの国民と言う名の社員まで巻き添えにして、沖縄の地上戦や、無差別空襲で死なせ、財産を失わせた。その責任者の代表が靖国に祀られ、空襲で死んだ犠牲者は祀られていないのだ。そのことを議員さんたちよ、どう思う。それを質問してくれる新聞記者、テレビ記者も皆無。だからぼくのような批判が常識にならない。その戦争犠牲の不公平な扱われ方の象徴が、靖国だということ。
     ちょっと過激になったかな。過激なのは常識でないか。でも、日本人は、この問題を深く考えてこなかったので、ぼくのような考え方が常識にならなかった。これから、それを常識にして行かねばならない。
     みなさん、靖国に参拝する議員という名は公表されている。その人の名前が出たら、「あ、この人が靖国に参拝したのね」と、公衆のまえでつぶやくようにしよう。東京駅で、選挙区に帰る姿をみたら、「あ、靖国に参拝した人だ。テレビに映っていた」とつぶやこう。「誰のためにやったのかね」とつぶやこう。「靖国は軍人でないと祀られないんだってよ。うちの爺さんは、空襲で死んだんだけど、そんなのではダメなんだって、とつぶやこう。そして人々の反応を見よう。本当に喜ぶ人が今時、いるのだろうか。
     ぼくは旧軍のエリートの学校にいた。そして軍人として尊敬できる人も、愛することのできる人もいた。
     だからこそ、国を守るために働いたという顔をして、生き残って年金をもらっていた人の偽善が許せないのだ。

     ぼくも怒ることがあるのだ。古賀なにがしという自民党の議員。好かん!

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44 【18627】打てば響く 2012年10月28日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-10-28 9:58:44  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2012年10月28日の記事を転載します。

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    10月28日 常識で考えようの4

     石原新党など、マスコミは騒いで、このお騒がせマンの宣伝を手伝っています。今回、コメントの中で光ったのは、田中真紀子文科相の「石原慎太郎、かっこ悪い暴走老人」。よくいうね、この人。
     みなさん年をとっても「暴走老人」にならないように注意しましょう。

    常識で考えようの4。

     前回、いいたかったのは、「靖国に参拝するだけが能じゃないのですか。靖国とは何かを考えることの方が、もっと重要ではないのですか。なぜA級戦犯はすぐに合祀され、空襲の犠牲者の合祀は問題にもされてこなかったのですか。沖縄戦の市民の犠牲者の合祀は問題にされないのですか。軍から手榴弾を渡され、降伏せず自決した人たちが、合祀のリストに入らなかったのでしょうね」、そう、参拝派議員に質問をぶつけてくれるマスコミがなかったのが、一番寂しい事実だ、といいたかったのです。
     週刊朝日も週刊文春も週刊新潮も、みんなその点では全く変わりはない。情けないマスコミです。
     老人党掲示板で、前回このコラムに載せた感想に、いくつかの反応がありましたが、恩給問題に反論が偏ったのは残念でした。ぼくが提起したかったのは、靖国の問題で、軍人恩給や遺族年金の問題ではない。恩給返せ、などというのは、常識的に考えて、実現することが目的ではない。気持ちの問題で、合祀もされず、補償もなかった人たちのことを忘れないで、といいたかったのです。いまさら、返せなどといわない。そういうことを踏まえて未来を考えようというのが、ぼくの意図です。靖国は軍人と一般人の差別の象徴です。それを認識してもらいたかったのです。決して、中国や韓国の反応を考えてのことではないのです。日本人として、そのような形で、靖国への参拝の意味を、議員たちに問うてみたかったのです。すぐに、隣国の批判に耳を貸さないのが毅然とした態度だと思っている人たちに、国内からの批判もあるのですよ、それに耳をふさぐこともかっこいいのですか、といいたかった。まず国内問題であって、国際問題にすり替えないで、といいたかったのです。

     この問題は、掲示板に任せて、先に進みます。

     大震災の復興を阻んでいるのは、なにかです。ぼくは戦後の闇市焼け跡派の人間ですから、戦後の復興が、闇市のエネルギーによって成し遂げられるのを見てきました。今回の大震災では、被災者が完全に避難所生活の形で、管理されてしまって、難民キャンプに似た生活を強いられ、自分たちで勝手に行動して、焼け跡にバラックを立てて、闇市に物資を運んだ、戦後の戦災被害者のように振る舞えなかったことにあると考えています。もと住んでいた土地に、家を建てることも、許せばいい。あるいは買い取ってくれといわれたら、買い取ればいい。それを受け取って、安全なところに家を建てるのもよし、危険承知で、その場に家を建てるのもよし、です。
     3・11のような巨大大津波は、今の被災者たちが生きているあいだには、押し寄せてきません。ぼくは過度な安全確保の考え方が、エネルギーをそぎ、復興にブレーキになっていると考えます。いざという場合の避難場所を考えるだけで十分です。大津波が来ても、絶対安全なところに家を建てることを考えていたら、町は再建できません。これが常識的な考え方です。絶対の安全を保証するなどというのは、常識的な要求ではありません。飛行機に乗っても、自動車を運転しても、電車に乗っても、常にリスクは伴っている。しかし、それが常識の範囲にとどまる限り、肯定します。常識的なリスクなら、知っていて飛行機にも乗るし、電車にものります。毎日世界のどこかで、事故は起こっていますが。地震や津波だけが、リスクではないのです。
     自治体が、市民たちに、自由に行動を許し、避難所生活に必要としている同額のお金を、個人に現金で渡して、自活を援助していれば、もっと早く復興していたでしょう。たしかに、戦後の焼け跡に立ったバラックは、立派なものとはいえなかった。安全ともいえなかった。でも、そこでの生活は、のびのびしていたのです。
     これがぼくたち闇市焼跡派の常識です。

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45 【18665】打てば響く 2012年11月3日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-11-3 21:46:59  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年11月3日の記事を転載します。

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    11月3日 常識で考えようの5

     ちょっとこれまでと調子を変えます。
     短い読書の感想です。

     みなさん、今、ベストセラーになっている『戦後史の正体』孫崎享著を読まれましたか。是非読むことをお勧めします。
     ぼくも薄々そうであろうと感じていたことが、実例の引用付きで、裏打ちされています。やっぱりそうだったのか、と納得することばかりです。
     読むと、日本人の、戦後に関する常識が、完全に覆されます。痛快といいたくなるほどです。

     かれを次の東京都知事選に立候補させようという動きがあるようですが、本当だったら面白いですね。ぼくは20年ほど前に鎌倉に移住し、東京都民ではなくなってしまったので、投票できないのが残念ですが、かれが都知事になれば、石原慎太郎や、橋下大阪市長とは比べ物にならない、存在感のある首長になるでしょう。ぼくはベストセラーは眉につばをつけて読む方ですが、この本の論理性には、帽子を脱ぎます。
     しかもこの本を書いたのが、かつての外務省国際情報局長で、防衛大の教授という肩書きを持った人だとは!
     こんな肩書きを持った人の本を、ぼくが進んで読むことはなかったでしょう。ベストセラーになって、本屋で平積みにされて、ぼくの目にとまったから、立ち読みした。それがきっかけで読むことになりました。するとあまりに面白くて、やめられなくなってしまったのです。
     これまでだったら、ぼくは元外務省官僚とか防衛大の教授という肩書きを見たら、手に取る前に、敬遠してしまったでしょう。ぼくのこうした肩書きを持った人たちへの偏見が大きかったことを、証明されたようで、ちょっと反省しています。

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46 【18780】打てば響く 2012年11月17日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-11-17 13:01:59  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年11月17日の記事を転載します。

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    11月17日

    「窮鼠猫を噛む解散」と見えて、実は「あとは野となれ山となれ解散」

     とうとう年内解散ということになった。
     今回は、どこに投票するか、選挙民は迷うだろう。ぼくだって迷う。単独の党が過半数を占めることはないだろう。
     記録的な低投票率になる可能性もある。その正反対もありうる。自公政権の復活の可能性は高いが、もう、それにはうんざり、という有権者も多いから、前回の民主党のように、自民が大勝ちすることはないと思う。

     さて、野田という政治家だが、おそらく「政治家になる以上は総理大臣をやってみたい」と思って生きてきた人なのであろう。松下政経塾に入ったのも、民主党に入ったのも、自民党に入るより、近道という計算があったのだろう。そして首相になった。だが、この人には、首相になって、何をしたいのか、そのイメージがなかった。政治家になってからは、ひたすら政治技術を学んだ。今回のような敵も味方も虚を突かれるような解散をしたのは、そのような技術を学んできた結果だろう。かつては、こういう技術は、政界の寝業師と呼ばれた人たちに属していた。その技術を、かれはプロ並みに磨いた。
     だが、解散のあとを、かれは考えていないだろう。民主党はこんな解散をすれば、消滅するだろう。選挙後にいくつかに分解し、小沢のもとに走るもの、自民に走るもの、維新に走るもの、いろいろと出てくるだろう。しかし、かれにとっては、総理になるまでは必要な存在であったが、民主党はもう必要はない。かれは政治生命を賭けるといっていたが、実は、総理大臣になってしまったのだから、これからの政治生命など、問題にならなかったのだ。だから民主党の生命も賭けたのだろう。
     だろうと、推定しているように書いているが、ぼくの頭の中では、ほとんど確信に近い。
     政治家を職業としてやる人間が増えてくれば、かれのような首相が選ばれても、当然だ。
     だが、日本人にとっては、不幸なことだ。

     こんどの選挙では、どこに投票したらいいか、大いに迷うだろう。それについては、この次に書こう。
     が、群雄割拠して、政権の空白状態が起きるかもしれないが、今のような政府なら、政府などない方がいいかもしれない。ベルギーなど、541日間、選挙後に内閣を作ることができなかった記録もある。しかし、ベルギーの経済は、ごく普通に機能していた。日本に、たくさんのベルギーのチョコレート屋が店を開いているし、スーパーでもベルギーの絨毯は、よく売れている。高級スーパーではベルギー輸入の、ビスケットが売れている。フランス製よりよく売れている。政府はダメでも、商売の方は、けっこう頑張っているのだ。
     541日の政治空白は、さすがにギネスブックに載せられるほどの記録であったが、政府なんて、意外と不必要であることの証明にもなった。その間、選挙で負けた前の内閣が、541日も延々と代行を続けてしまったのだ。政治空白、さあ、大変、などとあわてふためかないこと。

     今回の解散で示した、野田という政治家、昔の「政界の寝業師」という修飾語を思い出してしまった。追い詰められたかれには、それが唯一の選択肢だったのかもしれないが、党首討論の形で、解散の言葉を飛び出させたのは、演出の上手さと認めてもよかろう。
     かつてのバカヤロー解散などというものを、経験しているぼくたちにとっては、さして、驚きもしなかった。「おやおや、政治のプロだとか、政界の寝業師などという修飾語を付けて呼ばれる政治家が、まだ残っておったわい」
     今回の解散、後世のために名をつけるとすれば「窮鼠猫を噛む解散」というところだろうか。
     ともかく、かれ自身にとっては最良と思われる選択だったろう。ちょっぴり野党を慌てさせたし、石原や、橋下たちも、慌てさせたし、民主党の傷口が、これ以上大きく開かないようにブレーキをかけた。あと一日遅れれば、党内の反対派に首相の座を降りるように迫られただろう。
     だが、寝業師の政治家をもったことを、国民が誇りに思えるだろうか。国民はいうだろう。寝業師なんていらない。
     欲しいのは、哲学をもった政治家だ。

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47 【18930】打てば響く 2012年11月28日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-11-28 21:28:45  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年11月28日の記事を転載します。

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    11月28日 口先だけにしてもらいたい

     まだ選挙の告示はされていないのに、各党首の街頭演説がニュースの大半を占める。それにいちいちまともに反応していたら、消耗する。まずは傍観というところ。

     といいながら、この間の安倍自民党総裁の発表した「憲法9条改正。自衛隊は国防軍に。インフレ目標(物価上昇)2パーセント、成長率名目3パーセント、建設国債を日銀に引受させる」などなどの自民党マニフェストには、一言コメントしたくなった。しかし、そう思ったのはぼくだけでなく、いろんなところから飛び出したのが、面白かった。

     マニフェストの発表直後、公明党の山口党首が憮然とした顔で、まず、「憲法 9条の改正は必要ない。自衛隊を国防軍と呼び変える必要もなし。建設国債引き受けのための日銀法の改正も必要ない」という反応を見せた。公明党も安倍総裁の突出ぶりには困惑しているようだ。創価学会から、「憲法9条改正には、賛成できない」との突き上げもあるのだろう。公明党は自身が、右傾した自民党と自公連合を続ける理由があるかどうか、考えざるをえないだろう。

     それに「建設国債を日銀に引受させるための日銀法改正や、物価上昇2パーセント」については、日経連の米倉会長からも否定的な意見が表明された。財界の代表から賛成できないと発言されたら、寄付をもらいにくかろう。それに対して、安倍総裁は、「経団連は勉強が足りない」と批判を返している。喧嘩を売った形だ。この突出ぶりというか、はしゃぎ過ぎというかは、前回内閣を投げ出したのが「うつ」の状態とすれば、「そう」に近い、といえそうだ。どちらかというと、自陣営と考えていた人たちに首をかしげられて、ついには「この発言で円安に振れ、株価が上がった。勝負あった」などとぶつに至っては、もう暴走だ。傾げた首がもげそうだ。まわりの人たちは、この総裁の袖を引っ張って、ブレーキをかけるのに必死なのではないか。
     そもそも、デフレの反対がインフレ、インフレにすればデフレから脱却できるなどという考えは、野党第一党のマニフェストとしてはお粗末すぎる。2パーセントの物価上昇を目標にするなどというのは、年金は増えず、物価が2パーセント上昇すれば、年金生活者を直撃する。公務員も、中小企業の労働者も、つまり国民の半数以上が、賃上げは望めない状況だから、2パーセントの物価上昇は、2パーセントのデフレを体験するようなものだ。円安になれば、大手の輸出産業は助かるかもしれないが、輸入で飯を食うものにとっては、それだけ損失になるのだ。海外旅行者は円高を喜びこそすれ、円安に万歳する気持ちはなかろう。こんなにハッキリと円の強さを実感できる外国旅行者も、数百万人を数える時代なのだ。
     輸出と輸入がほぼ半々なら、世界から批判も受けない。極端な輸出超過は、世界の批判を招く。その分、内需を呼び起こしたいところだが、物価高で、給料はそのままだったら、消費者マインドは冷え込むばかりではないか。デフレの反対のインフレになどと思っても、日本経済の舵取りは、決して易しくも単純でもない。高校生程度の頭の政治家には、荷が重すぎる。うまくいかなくなって、また途中で放り出すのは、本人の勝手かもしれないが、国民の方は迷惑千万な話だ。
     株価が口先だけで上がるなら、口先だけにしてもらいたい。それで、もう十分だ。

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48 【19046】打てば響く 2012年12月13日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2012-12-13 19:52:41  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2012年12月13日の記事を転載します。

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    12月13日 マニフェストか、過去に対する責任か

     選挙となると、マスコミは、各党のマニフェストに目を向けさせようとする。マスコミも協力する。これでは選挙民が、マニフェストなどを比べて選択しているような錯覚に陥っても無理はない。
     騙されてはいけない。選挙は、これまでの政治の責任を問うものだ。これまでの中には、今の政府ばかりでなく、これまでの政府も含む。
     子供の精神発達の程度を調べるときに、何かモノを見せると、今持っているモノを放り出して新しいものに向かうかどうかを見る。新しいものを出されても、すぐに飛びつかなくなれば、かなり成長した証拠になる。つまり、赤ん坊の時代は今に支配されるが、成長するにつれ、原因結果を、少しさかのぼって考えられるようになるということだ。
     選挙に当てはめれば、目の前に出てきたものに、機械的に飛びつくのではなく、時間の幅をとって、原因と結果を考えて投票しないと、今まで左、今度は右の、簡単な選択になってしまう。政治は逆風に間切って帆を操りながら前に進むヨットのようでなければならない。右に振れるにしても、前進がなければならない。
     日本再生を訴える政党は、こういう視点で見れば、その前の与党であり、今の日本の破産状態に、責任がある政党だ。壊れた日本を直すというなら、日本がどう壊れ、それに政党がどう関わり、今、どのような状態にあるか、見てから考えることだ。それに対し、どのような責任があるかをはっきりさせるのが選挙だ。日本がまるで民主党の四年間で壊れたというのは、間違いだ。日本が前の長い支配政党に壊されたから、民主党が出てきた。しかし、この党が半分、前の支配政党のような部分を持っていたから、何も変えられないどころか、旧支配政党のやりたくてできなかった増税に手を貸してしまったのだ。
     その民主党をただし、さらに前へと前進させるビジョンを有権者は持つべきだ。一旦多党化してもいいだろう。

     老人党を立ち上げたとき、ぼくは、落とすことを考えよう、われわれにできることは、だれを選ぶかではなく、だれを落とすかだと、選挙に対する考えを変えるように提案した。
     自民党の政治を終わらせるために、たまたま民主党に票を入れるよう勧めたのであった。民主党のマニフェストに賛成したからではない。
     これからの世界の展望を示さず、自分たちの世界政治の中での位置を示さず、目先の個々の問題を書き連ねただけのマニフェストだなんて、読む価値がない。読むなら、その幼稚さを批判するためであって、期待などするためではない。
     これまで、政治家が過去に何をなしてきたかを考えず、公約なる口約束、つまり口約ばかりに目がいってしまっていた。だから、政治が変わらなかったのだ。
     大震災とそれに続く原発災害で、今や、政治家たちが、過去に何をしたかが見えてきた。最近起こった、中央高速道トンネルの天井落下の災害もそうだ。あえて、事故などと呼ばず災害と呼んでおこう。
     だが、政治家は、今もって、自分からその責任を語ることをせず、もっぱら口約ばかり述べ立てる選挙をし続ける。ぼくたちの一票は、そういう政治家を落とすために使うべきだ。

     敦賀の原発は、活断層の真上に建てられていた。だれの責任だ。計画を立てたのは、どこの党か。建てられたのは、どの政党が政権の座にあった時か。安全を保証した学者はどこの大学の誰か。
     池田内閣の頃から計画され、佐藤内閣の時にゴーサインが出されたのではなかったか。
     建設したのはどこの大企業か。そこと結びつきの強かった政治家は誰か。調べれば分かるだろう。おそらくその政治家は死んでいるか、引退しているかだろう。だが、その二世は立候補しているだろう。二世という地位を利用して立候補するなら、親の責任も受け継ぐべきだろう。落とすべし。

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49 【19207】打てば響く 2013年1月7日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-1-7 23:33:20  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2013年1月7日の記事を転載します。

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    1月7日 庶民を名乗る人のメール

     当然の結果だが、民主党が惨敗して、安倍内閣が発足した。
     大阪の「よみうり新聞」が、どういうわけか「老人党」のコメントがほしいというので、答えた。
    「この内閣を一言でいえば」
    「こんなのお坊ちゃんかき集め内閣や」
    「安倍内閣に何を期待するか」
    「無理に期待させるな。初めから期待していない。坊ちゃんたちに庶民の気持が分かるとは思わない。喜ぶのは株屋ばかりだろう」
    「新入閣の若手たちには」
    「見たこともないような顔ぶれだ。見たこともない人間にどう期待すればいいのだ」
    「二人の女性閣僚は」
    「お隣の国には女性の大統領が選ばれる時代だ。女性が大臣になることは話題にもならん」
    と、コメントしたら、たくさん意見を伺って、どれだけ紙面に反映できるかわからない、と記者が申し訳なさそうに、言い訳をした。
    「そんなことわかっている。たいてい骨抜きして、これがオレのいったこと?と、思うようなコメントが載るので、新聞とはそういうものと思っている」と答えた。 ところがデスクが気に入ったらしく、かなり紙面を割いて、コメントした大部分を載せた。珍しいこともある。
     関東にいるぼくには、どんな記事になっているか分からなかったが、すぐに自民党支持者と思われる、庶民を名乗る人から、メールが来た。著作権もあるので、コピーするわけにもいかないが、「お坊ちゃんかき集め、というが、代議士の子弟が40%の自民党の議員で組閣すればそうなっても当然。この内閣だけ意図してかき集めたわけではない」などなど、抗議の内容だった。自分も庶民である。だが、大いにこの内閣に期待していると締めくくられていた。名前も書かれていたので、丁重に返信したが、返信の返信はない。ぼくの返信の内容はいずれ、どこかに書く予定だ。
     年金生活者は、年金が上がらないで、物価だけ上がっていったら、生活が苦しくなるのは目に見えている。これから給料を上げてもらえると思うサラリーマンはどれだけいるだろう。2パーセントの物価上昇を目標にするなんて、ばかなことを。円安に振れる。それだけで、食料自給率の低い日本は、生活費がどんどん上がる。もうすでにパンが値上がりしている。マグロなんてインフレ的な値上がりだ。国民の生活を脅かしながら、なんで日本防衛なのだろう。
     日本とは何か、もう一度議論をする必要があるようだ。

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50 【19398】打てば響く 2013年2月3日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-2-3 10:33:09  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2013年2月3日の記事を転載します。

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    2月3日 「賢い国」のスローガン

     「ちくま」連載のコラム、「とりあえず主義」の次号の題は、≪「賢い国」というスローガン≫です。これは日教組新聞のコラムに、選挙に間に合うように、「賢い国」というスローガンを提案したが、買い手がつかなかったことを残念がる文章です。無料で売りに出しているのだから、買えばいいのに、とぼやいて見せています。
     ともかく、社会党も共産党も生活の党も、「賢い国」を取り上げないので、わが老人党だけでも≪日本を「強い国」ではなく「賢い国」に≫をスローガンに掲げようと思います。「強い国」をスローガンに掲げる党は、すぐに福祉を削り、軍備費をふやすだろう、といっていたら、その通りになりました。
     そして、なんとしても成長路線に戻すことを考えているようです。一家の家計をやりくりしている一般家庭は、まず何としても収入を増やそうとしますかね。とにかく収入を増やすために、借金して競馬で稼いで来い、なんて亭主をけしかけますか。賢い主婦は、収入は変わらない世の中だから、何とか、賢いお金の使い方をしようと考える。そこが腕の見せ所です。
     政治家の常識がいかに、生活者の常識とかけ離れていることか。
     賢い国は、自分たちの住む地球環境を破壊してまで、成長を望みません。原子力発電は安いエネルギーだなどという嘘にだまされない。反対が多くて、最終処分場も決められないので、その分の経費は抜きにして計算して、安い安いといっているのです。安いエネルギーなんていう財界人がいたら、賢い人たちは、そう反論しましょう。
     環境破壊の代償は、原子力の電力料金には含まれていない。賢い国は、発電量をただ増やすことを考えず、省エネルギーを考えます。省エネルギーの産業を育てます。環境保全には、省エネルギーが賢いやり方です。
     武器を生産するために、エネルギーを使ってしまうのは、北極や南極の氷を解かすスピードを速めているようなもの。氷が解けて海水面が二メートル上昇することは、全世界の海岸に二メートルの津波が押し寄せることです。日本の太平洋岸だけの津波と違うのです。そしてこの津波、押し寄せたままで、引いてはいかない。
     世界の二メートル以下の土地に、どれだけの畑や田んぼがあるでしょう。食糧生産はその分減ります。
     こういう風に、何が人間にとって賢い選択なのか、考えるのが賢い国です。
     日本のことだけを利己主義的に考えるのではなく、他人を思いやることが、結局、日本を救うことになります。

     ぼくは「賢い国」なら民主党のようにバラマキ福祉はしないと思います。あれは賢くない。お金はばらまくものでなく、賢く使うものです。
     何でもいいから名目上だけでも、ともかく成長することを目指したとき、バブルが起きました。その過去の経験を忘れてはいけません。あの時代、需要がないのに供給を増やした。それでも数字の上では成長だった。強い国を目指す人たちは、金融緩和だけで数字上成長させようとしています。賢い国を目指す人は、生活の質を向上させようとします。
     「強い国」というスローガンに対抗できるスローガンは「賢い国」しかないですよ。

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51 【19490】打てば響く 2013年2月19日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-2-19 18:48:16  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2013年2月19日の記事を転載します。

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    2月19日 個人的報告

     新しい本が出ます。吉岡君というケースワーカーとの共著です。出版元は 「中央法規」、精神保健白書などを出している関係で、このような種類の出版もすることになりました。

     ぼくがイントロを書き、ぼくとかれとのメールのやりとり、そしてかれとぼくの、部分から成り立ちます。ぼくの部分は、常識療法。
     常識療法とは何か、知らない人が多いでしょう。当然です。自分のやってきた精神療法(心理療法)にそういう名前をつけたのですから。
     この本で、具体的に常識療法がどういうものであるか分かるでしょう。

     今年は、家内の病気ではじまり、家内が快方に向かっている今、ぼくが上腹部痛に悩むことになりました。明日はCTスキャン明後日は胃カメラによる検査です。生まれて初めての胃カメラ、ということはぼく自身が、病気をあまりせずに、ここまで生きてきた証拠です。しかし患者することには慣れていないので、すべてを大げさに考えすぎて、若い医師たちに笑われます。
     そういう次第で、感想を書くのをさぼりました。御容赦を。

     今月の『婦人之友』の原稿は、自民党が準備中といわれる「イジメ基本法」についてのつむじ曲がりな感想になります。

     日本ではメルケル西独首相が、安倍総理に電話をかけてきた内容についてはほとんど報道されませんでした。事実さえ知らない人が多いでしょう。もちろん円安誘導は怪しからんという内容です。日本の国債を持っている者にとって、意図的に円安に誘導するのは、故意に損害を与えられることですから。G20の主要議題がそこに集中したことは当然です。これとメルケルの電話とを結びつけた報道がなかったのは、日本の報道の力量を示すものです。

     今回は短いですが、これにて失礼。

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52 【19587】打てば響く 2013年3月8日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-3-8 19:27:54  [返信] [編集]

    なだいなだのサロン『打てば響く』2013年3月8日の記事を転載します。

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    3月8日 感想と報告

     以前に自分は「前立腺がん」だと報告しました。この時の告知で、自分の人生の終楽章が始まったようだという感想も書きました。ほぼ二年くらい前になります。
     それから現在までたゆまず治療中でしたが、PSA指標は落ち続けたままです。このままで済むのだろうかと思いかけた最近になって、違った展開が見られるようになりました。
     最近、上腹部(胃のあるところあたり)にしつこい痛みを覚えるようになり、近くの病院を紹介され、胃カメラ、CTなどをすることになりました。
     ぼく自身が医者の端くれですから、検査の前、膵臓あたりの痛みではなかろうか。もしかしたら、利尿降圧剤の副作用による、慢性膵臓炎ではないかと自己診断していました。検査の結果は、内科医に、膵臓はあたっていますが、膵臓炎ではなく、がんです。しかもかなり広がっています。もう、手術はできません。と告知されました。がんの告知は二度目。
     二度目になると告知慣れです。はいそうですか。人生終楽章のなかばの展開部のエピソードですな、と受け止めることにしました。
     進行を食い止め、痛みを抑えるための、放射線療法、抗がん剤両方が始まります。抗がん剤は飲み始めましたが、ボディーブローのようにじわり効いてくる感じです。
     がんの方にも効いてくれればいいのですが。

     ということを、皆さんにも報告します。老人党提案者として、報告の義務があるだろうと思うからです。

     個人的には、今は、中途半端になっている本の企画を、どんどん実現していこう。時間との勝負だな、積極的な気持ちになりました。
     中江兆民が「一年有半」を書き始めた気分です。兆民は日本で最初にがんの告知を医者に迫った人です。
     「本当のことを言ってください。こっちのつごうもあります。このあと最大でどのくらい生きられますか」。
     その返事が「長くて一年半」でした。
     既に前回の感想に書いたと思いますが、「治らないの意味」という本を「中央法規」という出版社からだしました。題名が題名なので、奇妙な一致ですが、偶然の皮肉です。本が発売される頃になって、告知があったのです。

     そちらはいいのですが、問題は老人党です。
     これからのことですが、まだぼく自身はどうするか、どうできるか、考えていません。
     皮肉なもので、先を見越すことのできる老人党のような掲示板は、現代の政治状況を見ていると、ますます期待されるものになっているように思えます。
     しかし、この掲示板へのぼくの寄与は、これから、どうしても減少せざるを得ません。このさきのこと、皆さんにもよく考えていただきたいと思います。
     ともかく一つの区切りの時期に来ているとは思います。

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53 【19671】打てば響く 2013年3月24日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-3-24 9:22:18  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2013年3月24日の記事を転載します。


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    3月24日 基地がなくならない限り、沖縄の戦後は終わらない

     前回の感想を見て、驚かれた方もおられると思うけれど、その後、とくに自覚症状は現れず、毎日車に乗って病院まで行き、順番を待って、放射線の照射を受けて、与えられた薬(抗がん剤)をきちんとのむという、生活を繰り返しています。

     さて、政府は辺野古沖の埋め立ての許可を申請しました。突然の申請です。この問題に対するぼくの態度にぶれはありません。ぼくは沖縄には基地は不要と考えています。不要であるばかりではなく、戦後60年以上も経つのに、まだ占領状態が続いているような状況は不当です。いつまでも沖縄県民に、この状態を押し付けているのは、ぼくの良心が許しません。
     沖縄と国が対立したら、ぼくは沖縄の側に立ちます。
     政府は基地をなくすことを考えていません。基地による沖縄の苦痛を軽減するというが、基地をなくすという発想はまったくもっていないのです。

     そもそもアメリカは、戦術を変え、海兵隊を紛争地域に派遣することを、やめようとしています。その代わりに登場してきた、無人偵察機(ドローン)による作戦を重要視しているようです。このドローンも問題ありですが、今はそれには触れません。
     沖縄の米軍基地は、日本の安全保障上必要だ、と政府は繰り返し述べますが、日本の安全保障に役立ったと思われる事件は、これまでに一度もありません。ただ、アメリカの戦争に役立っただけです。
     アメリカは戦後、朝鮮戦争をはじめ、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争と、戦ってきましたが、朝鮮戦争をのぞいて、沖縄はそれらの戦争の直接の後方基地の役割を果たしてきました。もちろんそれらは、日本の安全保障とは関係のない戦争です。
     そしてその戦争の結果はどうか。ベトナムから米国は撤退を余儀なくされた。 イラクは、現在、アメリカの願ったような状態にあるか。それとはほど遠い。こちらも、撤退を余儀なくさせられています。
     アフガンではどうか。ゲリラには負けはなくとも、明白な勝利というものがない。その間、消耗戦を強いられる。経済的には、どうしても重荷になってきているという状態です。

      だれが見ても、もう沖縄のような基地を持ち、そこから海兵隊を出撃させるという戦略が、軍事的な意味を失ってきていることが明らかです。なおかつ日本に基地があるのは、日本が駐留費を払い、アメリカが兵隊を訓練する場所として、基地を安価に使用できるよう提供しているからです。
      日本はアメリカに忠誠心を示すために、沖縄の基地を提供しているにすぎない。アメリカは、日本が、駐留の面倒を見ているので、惰性でそれを利用しているだけです。
     しかし、沖縄の人たちに取っては、基地は、生活の質の問題なのです。毎日、騒音とともに暮らすのは、もううんざりだし、危険と暮らすのも、飽き飽きした。いい加減で、米軍には出て行ってほしいのです。静かに平和に暮らしたい。
     もし日本政府が、米軍の駐留を望むのなら、日本の本土のどこかに基地を探せばいいでしょう。できるなら首都の近くがいい。そうすれば基地と一緒の生活というものがどういうものかが、政治家にも、その支持者たちにも分かるでしょう。もしそのような話がでれば、基地候補地の周辺から、猛烈な反対運動が起こり、地元からの反対で、実現は不可能でしょうけれど。
     外国の軍隊の駐留などない方がいいのです。それが60年も続いてしまったとは。

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54 【19878】打てば響く 2013年5月4日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-5-4 12:46:12  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2013年5月4日の記事を転載します。


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    5月4日

     25回の照射が終わりました。ほっとした隙に風邪にやられ、気管支炎が長引き、ひどい空咳でちょっぴり体力消耗。しかし休んでいる間に考えました。

     人はどう考えようと、無神論者のぼくは、死んだらそれでおしまいです。あの世などなく、地獄も天国も極楽も中世的な人間の夢です。
     死後の話は嘘くさいものばかりですが、その中も一番嘘くさいのが、「死んだら靖国の英霊に」です。国の作りだした国に都合のいい嘘の代表です。英国の首相もしたディスレーリーの残した格言、「嘘には三つあり、ただのうそと、真っ赤なウソと、数字のうそ」の真ん中に当たります。
     靖国の嘘は作った人たちも、その意図も、分かっています。作ったのは大村益次郎です。かれは藩をつぶし、これから国民の多数を占めている農民商人職人で国軍を作るべきだと考えた、当時の人間としては、すごい合理主義者でした。
     その国軍のよりどころとして、国のために死んだものは、天皇が拝みに来てくれる神社の祭神になれる、という信仰を植えつけようとしたのです。かれは自分は合理的に考えられるが、ほとんどの日本人には、その程度の宗教性を国に与えないと、国としてまとまる意識が持てない。それでは、この先中央政府は崩壊する、という危機感を抱いたのでしょう。それを暗殺で死ぬ年に実現させます。明治2年1869年のことです。
     かれは本当に先の見える男で、大阪に一大軍事基地を作ることを、明治2年の死ぬ直前に考え、後輩に計画を立てさせています。東北の後は、薩長が国の敵になると予測し、その大乱に備えさせているのです。
     それで彼の死ぬ年に東京招魂社は建てられた。かれの死後10年、西南戦争が終わり、招魂社に合祀されることになった時に、靖国と名前が変わった。誰を祀るかは軍が決めたので憎き敵を排除します。敵も味方も、日本近代化のための犠牲などとは考えられません。以後、ここの神様は、お国のために命をささげた人という基準を作り、日本の官僚が、選ぶことになるのです。神様が、官僚に選ばれる。その神様をまじめに拝む気になれる人は幸いなるかな、です。
     靖国には台湾神社に祀られていた北白川の宮と蒙疆神社に祀られていた北白川の宮(二人は兄弟だったのかどうか)もまとめて戦後祀られることになりました。半分はこの宮さんのためのものです。天皇家のかかわりがいかに深いかもわかるでしょう。

     英霊ってどんなものですか、死んだら霊になって神社の奥に入るって信じられますか。200万以上もの霊が押し合いへし合いしているのが見る人には見えるのですか、というバカな質問を、国会でも、だれもしない。馬鹿がいなくなったのでしょう。同時に、バカを言える記者も議員もいなくなったのでしょう。

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55 【19918】打てば響く 2013年5月11日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-5-11 23:56:46  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2013年5月11日の記事を転載します。


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    5月11日

     友人の一人から、元広告批評の天野祐吉さんが、どこかの新聞で、「強い国より、賢い国に賛成」と書かれていたとか、ぼくは見落としましたが、老人党のスローガンが、少しづつ浸透し始めた証拠です。
     ともかく、天野氏は、はっきりと同意の意見を示してくださった初めての人です。そのうち、第二、第三の人が表れてくれるでしょう。最初までが待ち遠しかった。
     政治は、考えも大事ですが、ネーミングも大事です。
     これから、諸物価値上がりが続きます。インフレが向うの狙いなんですから。マヨネーズが値上がりしました。輸入食品の値上がりの、分かりやすい第一例です。
     このコラムで予測していた通りです。これを安倍値上げ第一号と呼びましょう。実際にはパンが値上がりしていますが、バーゲン商品になっていたりで、はっきりしませんでした。電気の値上がりも安倍値上げですが、原子力発電が使えないため、など理屈をこねられて、庶民には分かりにくかった。今回は、キューピーという会社が発表してくれた。値上げ理由を円安だと指摘して。値上がりはあまり好ましくはないのですが、この株式優先の安倍政治をストップさせるためには、アベノミックスの欺瞞を、庶民に分かる言葉で知らせる必要があります。
     次に、円安による値上げが来たら、声をそろえて安倍値上げ第二号と叫ぶことにしましょう。

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56 【20021】打てば響く 2013年5月28日分 転載
ビートル   運営スタッフ 2013-5-28 19:35:06  [返信] [編集]

     なだいなだのサロン『打てば響く』2013年5月28日の記事を転載します。


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    5月28日

     最近の株の暴落。アベノミックスとやらの円安政策に騙されるものも、はじめは多いだろう。しかし、こんな人工的な手段(坊ちゃんたちの考え付きそうな)では、デフレ脱却とやらはできない、とぼくは睨んでいました。『婦人之友』にそのことを書いておきました。
     株屋たちが、それをはやして株価を吊り上げていましたが、もうけを得るのは、この辺が限度と考えたのでしょう。それが今度の暴落になったとぼくは見ます。
     日本の株でもうけているのは日本の株屋ばかりではありません。儲けを狙う世界中の株の相場師・投機家なども、こういう機会を逃さない。かれらは、ナショナリズムには関係ありませんから、もうけられるのは、これが限度かなあと思えばさっさと手を引く。
     そして数か月の浮いた気分も、もう終わりでしょう。日本のマスコミは昔から、どちらかというと政府寄りで、アベノミックスの提灯を持ってきましたが、いまごろ、この騒ぎで一番儲けたのが相場師や投機家で、損をしたのが、これから円安の付けを、諸物価値上げの形で、払わせられる日本の庶民だと気が付いているでしょうか。
     でも、株暴落が、参議院選挙の前であったことが、唯一の救いです。

     一方で、アメリカに勇ましくケンカを売った維新の会の橋下が、あっけなく降参してしまったのは意外でした。次号のちくまに、少しは頑張るだろうと、見込みを書いてやったのに。ちょっとがっかりでした。維新の会の議員たちが、選挙のために、謝らせたのでしょう。しかし、タイミングが良くない(かれらにとってです)。維新の会の勢いはもうこれで終わりでしょう。つまりかれらも終わり。
     現在まで、ひたすら選挙の利害で結びついていた自民・公明の連合ですが、改憲に消極的な公明とは選挙が終わるまで付き合い、あとは維新の会とくっつこうか、とひそかに考えていた自民党の黒幕も、この維新の会の自滅は計算外だったのではないかなあ。
     こうして自民の勢いが落ちてきたのに、それに付け込むことのできる野党がいない。野党連合を作る知恵者がいない。つまりは、少しばかり知恵の深い政治家が野党にいないということ。本当に政治家日照りですな。

     ぼくは、がんとの付き合いで、なんとか頑張っていますが、白状すると、ちょっときつい。
     がんの告知は、本人に、自分の残りの人生を計画させるためには都合がいい。ぼくはその恩恵を受けている。しかし、父、夫が次第に死に近づくということを知らされた近親の者たちには、この告知は、かなりな苦痛を与えている。そのことなど知ったこっちゃない、自分のことで頭はいっぱいだ、といっていられないのが、精神科医である本人。精神科医の同僚たちよ、告知のこうした一面の研究をしてくれないだろうか。それがぼくの今の気持ちだ。

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