打てば響く 
過去記事(2004年5,6月)

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6月30日  「選挙はケンカです」

 野党の戦い方を見ていると、歯がゆくて歯軋りしたくなる。ケンカの仕方を知ら ない。いまさら年金のわが党の主張など、街頭演説で、ながながしゃべるな。選 挙ははケンカだ。勝とうと思うなら、相手の点はどこにあるかを考えろ。弱点は 戦線の継ぎ目隙間にある。これが戦術の常識。自民と公明の隙間。党と支持 者の隙間。そこを攻めろ。自分の支持者に訴えていたって、攻めにはならない。 「創価学会のみなさん。今の公明に満足されていますか。疑問を感じておられる のではありませんか。かつての公明の本当に公明だったところはどこに行ったの でしょう。小泉にベッタリの公明を支持していたら、創価学会まで疑われますよ。 日蓮さんが生き返ったら、なんていうでしょうね」と、攻めてみたらどうか。「公明は きっと、権力に近づいて、悪い夢を見ているのです。目を覚まさせてやりましょう。 一回ぐらい、私たちに入れて目を覚まさせてやりなさい」。そう演説してみろ。自民 党の支持者にも呼びかけるのだ。「自民党をずっと支持してこられた皆さん。今の 自民党をどう思いますか。あなた方は、自分が馬鹿にされているようには思いま せんか。あんなアメリカベッタリの姿勢は異常ですよ。宮沢元総理だって、おかし いといってます。野中さんも首をかしげている。それでも自民に入れますか。どう です、馬鹿にするな、と野党のわたしたちに入れてみたらどうですか」と呼びかけ ろ。

 これが「週刊金曜日」に書いた文章の要旨です。
 歯がゆい。ともかく歯がゆい。これがぼくの今の心境です。
 共同通信には、「年金、年金と年金のことしかいわないから、有権者は白ける。 今、庶民は物価に敏感になっている。ガソリンの値上げや、消費税込みの表示 化に便乗しての値上げが、年金生活者を脅かしている。物価と年金は老後の生 活安定のための両輪だ。こうした不安を直ぐにくみ上げて、選挙に繁栄させようと しないから、有権者は白ける」という趣旨の原稿を送りました。
 老人党の正式のホームページでは、選挙違反などと言われないように、掲示板 の発言に、スタッフが注意を払って対応しているし、NHKなども、ぼくの絡んだ放 送を、選挙期間中に行ってもクレームが来ないか、とても心配し、慎重になってい る。だが、そういうことを細かに気にしていられないのが、老人の老人たる所以。 その点で、ぼくはこれまでかなりポカをやっているでしょう。でも、責められたら、 老人のボケを武器に戦うつもりです。



6月28日  「選挙を盛り上げるために」

 候補者の言葉を聞いていると、与野党とも、今度の選挙は「年金」「イラク」だと いう。そしてマスコミは盛り上がっていないという。
 それより庶民は、最近の物価の急な値上がりが気になっている。ぼくだけの印 象かと思って、近所の主婦と話をしたら、彼女らの間でも話題になっているという ことだった。
 景気判断で、経済成長がプラスに転じたり、日銀短観などの数字も不況脱出を 示しているというが、それに心理的に便乗しているのか、それとも値札を消費税 込みの数字に改めたのに便乗して値上げし、それが数字的にスーパーの売り上 げを増加させたのか、ともかく主婦は敏感になっている。それを直ぐに選挙で取り 上げる政党がいない。だから、選挙が盛り上がらないのだ。
 民主党の岡田党首など、このあたりの事情を知るにはいい立場にいるはずだ。 黙っていると、かえって主婦層から、妙に勘ぐられる。政治家が物価に敏感にな り、現場感覚を取り戻せば、政治と有権者の距離は縮まる。女性議員がいるの に、その問題を取り上げる政党がないのはどうしたことか。男女が平等になること が、こうした日常感覚を女性に失わせることだとは思わない。今の、景気回復は 数字だけの回復で、まだまだ不況という庶民の感覚と、大きく離れている。そもそ も日銀の数字にも、政府の数字にも、中小企業の景気感は含まれているが、庶 民の景気感は含まれていない。スーパーの売り上げは数字になるが、消費者の 感じは数字にならない。消費者は景気がよくなって買っているのではなく、仕方な しに買って、その結果支出を増やしている。そのギャップに、気がつかないようで は、政治家としては落第だ。



6月26日  「参院選挙公示」

 選挙が公示になったので、老人党として、個々の政党名、個人名を上げると選 挙違反などと難癖をつけられるかもしれません。でも、一人一人が、個々の候補 者を推薦するのは、勝手です。どうぞ積極的に隣人に働きかけてください。
 当然のことながら、インタビューの申し込みが、多くなっています。マスコミは、ま たもや、この選挙は盛り上がりに欠ける、低投票率に終わるだろう、と予測してい るところが多いようです。そこで「じゃあ、賭けましょうか」とぼくは挑戦しています。 イギリスでは何にでも賭ける、賭け屋があります。もちろん選挙にも。日本の投票 率も、すでに賭けられているかもしれません。
 日本でも賭けられるといいでしょう。どこかの新聞社で、さまざまな場合を想定し て、賭けを募ると面白い。例えば選挙区ではどちらが勝つか、比例区で最高 の得票を得るものは誰か。石原都知事のように、カジノという箱物を建設するこ とを考えるより、コンピュータで、投書で、こうしたことに賭けられるようにするとい いでしょう。投票率改善にも役立ちます。
 この提案は、ちょっと突飛過ぎますか。
 とりあえず、賭けられるとして、ぼくは前回の選挙より、棄権は減ると賭けます。 理由は、スポーツ新聞が、選挙を話題にしているからです。スポーツ紙の記者 は、どちらかというと投票には行かないで、競馬場や競輪場に駆けつけるファン の、考えを知る立場にあります。そういう場所に集まる人たちの間で、現政権の 政治手法に不満が渦巻いているということです。これまでは棄権してきた人たち が、この不満をばねに投票所まで行くだろうと賭けます。ま、希望が半分入ってい るが、希望がなければ賭けはしません。例のうわさ戦術で、賭けのオッズ(賭け 率)がどうなっているか、どっちが優勢か、電車の中で議論をしていれば、周りの 有権者は選挙に関心持つようになるでしょう。迷案に属するかもしれないが、とも かく棄権を減らしたい一心での案です。

 さて、いつの間にか、マスコミは「年金」「イラク」がこの選挙の争点といっていま すが、一番の問題は、責任の所在が与党にあると考えるかどうかです。いまさら 短い選挙期間に、年金、イラクの内容を議論しても始まりません。われわれにとっ ては、国会でそれらの問題が「議論されなかったこと」「議論を封じられたこと」の 責任を取ってもらいのです。また、選挙期間が短くて、候補者間で議論するのを、 われわれ有権者が、十分に聞く時間はありません。
 小泉内閣は、アメリカ依存だと、前にいいましたが、アメリカに依存しているので はなく、ブッシュ政権に依存しているのです。アメリカはイラク問題で真っ二つ。そ の半分に肩入れをしているだけです。与党に投票するならブッシュの顔を思い浮 かべて、投票してください。
 なぜ、自民・公明連合は、あそこまで、改正法の成立を急いだのでしょう。あれ ほど強行する必要が、どこにあったのか。国民の知りたいのはそれだ、教えろ、 隠すな、と、候補者はぼくたちの代わりに迫ってください。それに対する反論に も、耳を傾けます。
 今回の選挙も、この前の選挙と、原則は同じですが、比例区は自分の支持する 政党に入れても、死票にはならないでしょう。自分は護憲なのに、政権交代のた めに野党に入れるが、当選した途端に憲法改正などといい出したら、どうしたらい い?という不安は感じないですむでしょう。ま、野党が緩やかな連合を作ってくれ たら、これに越したことはありませんが、それが出来ないなら、比例区で、護憲の 気持ちを持つ人が、護憲政党に投票できれば、すっきりするだろうと思います。



6月2日   「予感はどうやら当たったようだ」

 ぼくの予感はけっこう当たる。原油価格に関する限り、ぴったり当たったようだ。 ブレアー退陣の方は、ヨーロッパ議会の選挙の結果が鍵だと思う。世界の先進国 が必死にになって、石油の価格を下落させようとしているが、売る方の側として は、アメリカの報復が怖いから(これが本当の意味でのテロリズム)、表面は従う ように装うが、原油の価格を下げても、まったく自分たちの得にはならないのだか ら、下がらないだろう。原油価格の高止まりが定着すれば、これからは環境派の 時代だ。みどりの時代だ。
 参議院選挙は、これまでと原則は変わらないが、沖縄の「きなしょうきち」さんが 民主党から立候補した。迷った末の選択だろうが、いまどき個人として、迷いなく 推薦できるのは、この人ぐらいだ。民主がこの人を将来、自分たちの看板にする ようだったら、政権交代は近いだろう。
 ぼくの個人的な考えはこうだ。今回の選挙は、直接政権交代に結びつかない が、それでも政権交代を頭において投票する。だが、比例区では個人的には中 村敦夫の「みどりの会議」と福島みずほの「社会民主党」を推薦したい。出来るこ となら二つの連合が出来て欲しい。きなさんは民主をここに引っ張ってきて、この 連合にくわわればいい。それに共産党が孤立主義を改めて加わってくれれば、こ ちらもあれこれ迷わないですむ。ぼくのように「とりあえず主義」になれないのだ。 とりあえず連合する。譲り合わなければ、連合はできない。それが出来たら、人 格的にもかなり成熟した証拠だ。きっと国民の方も信頼感を抱くようになるだろ う。
 老人党も、そろそろ具体的に選挙のことを考えはじめよう。掲示板での、細かい ことにこだわった議論は、とりあえず中止。これまで棄権してきた人たちを、なんと か投票所まで引っ張り出すために、面白いアイデアを考え出そう。



5月18日  「はっきりしたこと」

 小泉も未納、小澤も未納、公明党の神崎も未納、結局は議員たちは、みな未納 ということ。これで分かったことは、年金の管理運営を任された官僚が、まったく 仕事をしていなかったことだ。それも本当に長い間。つまり法律で制度が作られ てからずっと。
 未納の人間に、まず「あなたは未納だ」と通知を出し、それでも納めなければ督 促状を出し、それでもなお納めなければ、人を派遣して督促する。そういう、お金 を集めて運営する仕事の常識が行われていなかったということ。国政を任された 政治家が、何十年ものあいだ、まったくそれに気がつかなかったこと。これが日 本の現実だ。構造改革という言葉を聞いたとき、こういう日本の構造を改革してく れるのかと、たいていの人間は思ったのではないか。それで多くの有権者は、小 泉に投票したのだ。今、有権者は、自分がいかにだまされていたかに、気がつく べきだ。
 この騒ぎの最中、公明党出身の厚生労働大臣は、なにを勘違いしたのか、官 僚のサボってきたことをケシカランと叱責する代わりに、個人情報を漏らしたのが けしからんなどと講演している。ばかをいうな。小泉も小澤も、リークされたのでは なく、ヤバイと感じて、自分で調べさせて、自分で未納を発見して、自分で発表し ているのだ。リークの仕方がフェアでなかったと叱責するのなら分かる。公明党と 自民党が、野党の党首を退陣させて、自分たちは知らぬ顔でいずわるという、後 出しジャンケンのようなきたないやり方が出来るように、リークの仕方がフェアで なかったというのなら、まったく同感だ。役人たちは、今頃、大臣が公明党だか ら、公明党に有利になるようにリークしてやったのに、とつぶやいているのではな いか。
 前の選挙のときに、マニフェストなどというつまらぬ作文を書くより、具体的に、 議員年金を廃止し、年金を一元化する。そして法律を作ったら、国会は法律のア フターサービスをして、運用面に問題がある法律は、状況に合ったものに、どんど ん改良していく、という分かりやすい提案をしろ、と、野党に助言をしたのだ が・・・。
 日本のテレビ局が、この年金未納問題で騒いでいる間に、世界では、パレスチ ナ人が、シャロンに家を破壊されて、続々とホームレスになっている。戦後、第二 次大戦中、ナチがワルシャワのゲットーを破壊した写真をみて、ユダヤ人に同情 したことを思い出す。そのナチと同じ論理で、同じことをユダヤ人がやるとは。い や、ユダヤ人がやるのではない。歴史の勉強の足りない、シャロンとイスラエル軍 がやっているだけで、多くのイスラエル人、世界に散らばっているユダヤ人たち は、こんなやり方には反対だと信じる。ワルシャワゲットーの、被害者としての記 憶を持つものが、まさか自分の手でこんなことは出来まい。



5月16日  「予感」

 いろいろ予感がしてきた。予感だから論理的に説明できないがブレアー首相の 辞任が近いような気がする。内政面では順調だし、選挙が間近に迫っていないか ら、日本の常識なら辞任の必要がないかもしれないが、そんな予感がする。
 当然、イラク戦争に関しては政策の転換が行われるだろう。もちろんパレスチナ 問題についての政策の転換もだ。イラク人捕虜虐待の写真が、アラブ世界を、こ れまでになく一体にしたのだ。それが、かれらにオイル増産をサボらせた。それ が石油価格高騰の、隠された原因だろう。それを明らかにしたら、株の暴落が起 きる。それはアラブにも得策ではない。だが、ブッシュの政権には、これ以上の我 慢はしないぞ、と意思表示をしたい。そうした流れが、石油価格の現在の高騰を 生んでいる。それがアメリカのブッシュ支持層にも不安を与え始めている。ぼくは そうにらんでいる。
 専門家でないからいえる無責任な推理かもしれないが、こういうことは感じたと きにいっておかないと、あとで、そういう予感があったといっても、印象に残らな い。
 日本は、年金未加入、未払いで、もめているが、政治の自浄作用は進まない。 結局は、ブレアーが倒れ、ブッシュが倒れて、それに密着していた小泉が巻き込 まれるという図式になるのだろう。だが、日本の政変も間近に迫っていると思う。 選挙で自分たちで変えたという実感がないと、有権者の自信に繋がらないが、せ めてそれを予知していたという自信くらいは持ちたいので、予感を公表しておく。
 イギリスの国民はブッシュから離れたがっている。それを知りながらアメリカの 支持継続を断言し続けるブレアーの表情が、精神的疲労を深めているように感じ られる。それが予感させるのだろうか。



5月11日  「一番の責任者」

 国民年金の未納問題で菅民主党代表が辞任した。だが、これだけ多くの議員 が未納だったことは、何を意味しているか。国民年金の集金システムの不備だ。 未納でも督促状が来るわけではない。支払いを促すために回ってくるわけでもな い。国民年金の集金責任者は誰で、最高責任者は誰か。その人間の責任がまだ 問われていない。
 こんなずさんな管理では、年金の経営が破綻しても不思議はない。政治家の辞 任だけではすまない。官の責任者を国会で呼び出して現状の報告をしてもらった らいい。

「捕虜虐待問題」
 イラクでは写真が出回ったために問題になったが、もとはグアンタナモの収容 所の捕虜処遇を、世界の世論が放置してきたところにある。ここでの尋問の仕方 が、スタンダードになって、それがイラクで写真の形で現れたのだ。決して、「一部 の恥ずべき連中の仕業」などというものではない。アメリカの軍の新聞の社説に も、ラムズフェルド長官とマイヤーズ将軍の責任を問い、退陣を求める社説が出 たと,BBCが伝えている。


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5月2日   「少数の不心得のもの」

 アメリカのメディアが、イラク人捕虜を虐待する映像を流した。イラク人捕虜を素 裸で性行為のまねをさせ、アメリカ人の軍服姿の看守が、ニコニコして記念撮影 を撮っているというもの。電線を性器や他の体の部分にまきつけ動けば感電する という脅し(兵隊はジョークだといったが、悪いジョークだ)の写真もあった。どれも 性的倒錯の趣味の色合いが濃いものだ。
 かれらは軍法会議にかけられ、上官の将軍は監督不行き届きで職務停止とい うことだが、アメリカ軍幹部もブッシュ大統領もこれは「一部の不行き届きのもの の仕業」で、他はまじめに軍務を遂行していると弁明に大童である。だが、その翌 日にも、イギリス軍の兵士が捕虜に袋をかぶせ、銃を突きつけ、かれに放尿して いる写真が公表された。部隊名も明らかにされた。こうなると、「一部の不心得も の」がまだまだ他にもいると疑われても仕方がない。しかし一部の不心得ものは、 こういう仕打ちを受けたイラク人の同胞からの、米英軍を中心とした同盟軍(日本 の自衛隊も含む)全体に憎しみを向けさせる。

 イギリスの参謀総長が、アメリカ軍のスポークスマンとまったく同じ言葉「一部の 不届き者」「他のまじめに軍務に励むもの」という表現を使って遺憾の意を表し た。だが、市民を無差別に巻き込むようなヘリコプターからの攻撃をする「まじめ に軍務に励む」兵士の心の中に、倒錯した性的な快楽感が紛れ込んでいない か、そのことも疑ってみたらどうだろう。
 少数の性倒錯者が戦争に紛れ込むのではなく、誰のこころにも少しは隠れてい る性的倒錯への傾向が、戦場という異常な雰囲気の中では、解き放たれるもの だと考えたらどうだろう。戦争の大義をいうものは、戦争のそうした不可避の非人 間的な面を見ない。
 ブッシュ大統領はこの問題がテレビで放映される二時間前に、テレビの前で「サ ダム・フセインが倒れた今、イラクには拷問はなくなった」と胸を張ったばかりだっ た。
 この米英軍の捕虜虐待は、いくら戦争の大義を語っても、戦争そのもに大義は ありえないことを教えている。日本の憲法9条はそれを知ったものが取り入れた のだ。

 かつての日本軍、ナチなどもそうであった。日本軍すべて、ナチドイツ軍すべて が、性的倒錯者であったはずがない。だが、戦犯とされた人々が、平和な時代に はごく平凡な市民の一人であった事実は、戦争がなんでもない人のこころを狂わ せることを示している。
 ともかく「一部の不心得者のしわざ」と弁明しようと、それに納得しない気持ち が、占領されている側に生まれてしまった。傷つけられた自尊心は癒されること も、忘れ去られることもないだろう。今になって戦争の大義をいかに美辞麗句で 飾ろうと、納得させることは困難だろう。
 数枚の写真が巻き起こした問題の行方を、これから見守っていくことにしよう。